国土

 それからさらに数年で、国内部の集落はだいぶ広がりを見せた。

 というのも畜産ちくさんが盛んになってからというもの、南の草原で動物を育てたがる者が増え、またその動物の所有量である程度の身分差が生まれた。貧富の差、というものだ。

 国王は、家畜を手懐けるものが上手い者に共通の名前を与え、集落の外に軍人の部下を与えて使わせた。

 家畜の数は、ゼロ王国の民の数を抜くかというほどにまで増え、幅広い国土を有するようになった。

 集落内だけでなく、国土という概念がいねんが幅広く国民に浸透していくことになる。

 ゼロ国で最も大きな最初の集落の外側にある、周囲の村々なども吸収され、大国というものが最初にできた。

 だが、領土侵犯する多くの者はいた。敵国などはまだなく、それはイェルダントを始めとする魔獣たちだった。

 見晴らしの良い草原に、何匹も草食獣が居るのである。

 イェルダントは無音で近づき、いくらでも動物を食べた。

 イェードの仕事は猛獣に魔獣、魔法生物の狩りとなった。

「ここまで生きられるとは。

 長生きはするものだ」

 旅立った、十七歳のあの日あの頃に戻ったようで、イェード将軍は心身ともに張りがあった。

 その頃、国王アザトが北方の地への遠征を決めた。王自身が、北方の雪国を領土としたいと考えたのだ。

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