家畜
ある日ゼロは、自分だけの動物が欲しい、とそう言った。
きっかけはゼロと一緒に国近辺の草原で狩りの真似事をしたときのことだった。
イェードは、
それは、
毛並みを整え、立派な扱いを受けた、生後一ヶ月ほどの『お狼様』がゼロへと
「あまり動物を愛するようになると、肉が食べられなくなるかもしれないな。
それは困る」
アザトも大抵食が細かったが、肉はちゃんと食べるのだ。
動物に対する慈悲も対してもっては居なかった。
「国のみんな、一人ひとりが動物を愛するようになれば……」と言いかけたゼロだが、口を次ぐんだ。
いつものようにしばらくの間、ゼロが考えた答えを出すのを待つアザトだった。
ゼロが口を開く。
「お肉が食べられなくなりますね」
アザトが笑い、
「うむ。動物はあくまで、我らの
その狼は例外だ」
「大人しい草食獣を連れてきて、国中で飼うのはどうでしょう?」
「ふむ、どうだろうな。
草を食べる生き物の全てが大人しいわけではないし、少なくとも生えている角は切り落としておく必要はありそうだな」
何事も先んじるアザトだった。
アザトは翌日すぐにイェードに軍隊の出動をさせ、そうした動物の『回収』を命じた。
イェードは出来るかどうかわからないという
大きく軍勢が動き、戦争でも起きるのかと不安がる国民をなだめるのは、発案者のゼロの仕事だった。
子どもから話を通じ、『大きな狩りをするそうだ』、というような感じ。
苦労はあったが、
加工された肉以外の、生きている四足動物を見るのが少なかった子どもたちは、実際に人口のある国の集落の外から連れてこられた動物を見て様々な反応を示したという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます