竜の渓谷(けいこく)

 ゼロ国では五日間かけて健康な男女、移住の民が集められて、軍人たちがそれを囲うように防衛体制を敷き、アザトやイェードに率いられて国を出発した。

 数千の人類を軽々しく襲う生物はまず居なかった。もはや、人間は狩られる存在ではなくなり、狩る側に回ったのだ。

 少なくとも、この地域では。

 南の都市ポリス(予定)のさらに南ではとても広くて深い渓谷けいこくがあり、比較的多数のドラゴンが住んでいた。まだ絶対強者の威容を残すその魔法生物は、人を恐れることなどなく狩りに向かう。

 国長に率いられた移民たちと都市の合流、そして竜の接近が符号のように一緒になったのは幸か不幸か。

 激戦が、待ち受けていた。

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