新たな拠点、都市(ポリス)

 集落を一晩放置して、イェード軍はほぼ全員でそこを制圧、支配下に置いた。

 当のイェードは副官に集落を任せて、二百人ほどを引き連れてゼロ国へと戻っていった。

 無事帰還したゼロは、国長くにおさアザトに完全勝利の旨を伝え、現在敵の集落を支配下に置いたことを伝えた。現場のむごい状態も、それとなく伝える。

「この国ではかなり人が増えてきた。

 その集落にはどれくらい人が住めそうだ?」

 イェードはすぐにアザトの意図を察した。

「簡素な集落だが、死体を処理してしまえば数千人の移住は可能でしょう。

 この国のように住みやすくするには、整備が必要でしょうが……」

「近くに河川かせんはあるか?」

「はい、雄大ゆうだいな流れがそう遠くない場所に」

「ならば、私が現場を見に行こう」

「よろしいので?」

「人々を引き連れて、その集落を管理する。新しい、国ではないが都市ポリスだ」

「『都市ポリス』?」

「巨大な村、といった感じの言葉だ。私が新しく作った」

「わかりました」

 イェードは笑顔かつ丁重にアザト国長を迎える。

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