教育
ゼロもこの地本来の者と同じ黒髪と黒目で、体格は並だったが、良き顔をしている。
家庭教師はアザトで、運動の訓練はイェード、他には教育の上手な軍人が教えていた。
またゼロとアルルには一歳になる弟も生まれており、その名をドレッドと呼んだ。
ここ数年で増建築された、最も巨大な建物に座すアザトが、軍事司令官イェードと話をする。
「ゼロの頭は悪くない。
運動の方はどうだ?」
「運動はまだ全部はわからない。魔力も正直大したことはないと思うが、何より根性がある。
並大抵のものではない。一部の天才を除けば、一番伸びる性格をしているはずだろう」
堂々と、イェードがそう言う。
「正直だな」
アザトは苦笑する。
「国長を前に、嘘はつけない。
勉強の方は、国長、アザトが悪くないとする頭なら、十分すぎる知性ではないだろうか」
「まだ、子どもだからな。
飲み込みが早いのは
自慢の息子だ、と続けるアザト。
「赤ん坊の頃はどうなるかと思っていたが、無事ここまで育ってくれた」
安堵の表情を浮かべるアザト。
副国長として細かい仕事を任されていたマルスが、部屋の前に立って声を上げる。
「国長、アザト様。お話し中のところ申し訳ありませぬ」
赤髪のマルスが丁寧にそう言った。
「良い。述べよ」
アザトも丁寧に応じる。
「開拓を目指して南に移動させていた
一部のものが逃げ帰ってきたようです」
「こちらも、かなりの規模のはずだが?
軍人だけでもおよそ二〇〇〇人は送り込んだはずだ。
生き残りは?」
「およそ三〇〇です。ほぼ全員が殺されるか、
アザトは地面に握りこぶしを叩きつけ、怒った。
「イェード」
「すぐに待機中の軍を動かします」
珍しく、丁重な動きでそう言ったのだった。
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