第25話 Looking back(振り返り)

ヘルマワンを見送ると、僕と山田も会計を済ませ、ホテルへ戻るため席を立とうとした。山田が僕へ話し始めた。


山田「人の出会いって本当に不思議ですね。カンボジアのシェムリアップで知り合ったニャン君との出合いもすごく不思議でしたけど今回のバリ島での出会いは、偶然というよりは引き合わされたって感じですね。ところで今更なんですけど、酒井さんとマルチンさんの出会いって、何がきっかけだったんです?差し支えなければ、聞いてみたいんですけどね。」


僕と山田は改めて席へ座りもう少し時間をいただくこととした。 


僕「了解。お話しますね。僕が3回目のバリ島への渡航の際に、ビジネスで雑貨の買い付けとアレンジの商談でバリ島へ一人で来ていたんだよね。その頃は、まだインターネットなど普及はしていなかったら、取引先も手探りで自分の足で一軒一軒問屋を回り、交渉していくって感じでしたね。」


山田「そうなんですね。本来の営業って感じがしますね。それで。」


僕「そうですね。そこで一通り仕事が終わってから、夜の食事兼ねてジャラン・レギャン通りをジャランジャランしていた時に、ディスコの前にいたマルチンに声をかけられたのがきっかけでしたね。」


山田「それも本当に偶然ですよね。不思議ですね。出会いって本当、どんな形で訪れるかわかりませんね。」


僕「本当そうだよね。でも初めはかなり警戒していたんだけどね。インドネシア人がそれもディスコの前で日本人の僕に話しかけてくるとは、何かだまそうとしているんじゃないかってね。マルチンと話しているうちにこの人は気が合いそうだなって感じてきて、それ以降バリ島へ来るたびに、マルチンとはいろいろな場所へ行ったって感じです。今日はマルチンによってヘルマワンと引き合わされたって感じですよ。そうなるのもバリアンの一言が始まりでしたけどね。」


マルチンとの出会いの始まりを山田に話し終えたところ、バリ島の夜風が僕のほほをかすめていった。僕と山田は席を立ち、2Fのレストランから1Fへと降りて行った。


僕と山田は、レストラリホテルからアグン・コテージへ戻るため、ジャラン・レギャン通りを歩いて行った。5分ぐらいで、滞在ホテルへ到着した。フロントでは先に戻っていたエディがまだ、フロントにいた。


エディ「酒井さん、山田さん、おかえりなさいませ。荷物はお二人の部屋へ、運んでおります。ご確認ください。後、明日は何時にしますか。ブサキ寺院とランプヤン寺院へ観光でしたよね。」


僕「明日も今朝と同じ時間の9:00でお願いします。大丈夫ですか。それに一人追加で同乗します。タナロット寺院のカフェで会ったあの男の子です。」


エディ「もちろん、一人追加はまだ大丈夫ですよ。車に同乗できますからね。今晩は、カフェの彼とはお会いできましたか。」


僕「もちろん、会っていろいろ話をしましたよ。なんだか感動しちゃいました。懐かしさでいっぱいでしたよ。」


エディ「それならよかったです。酒井さんも満足されたんですね。」


山田「エディ、世の中ってなんだか不思議な感じだよ。人の出会いって本当に感動ものですね。」


エディ「本当、そうですね。出会いって本当に円という感じがしました。酒井さん、どうぞこちらがルームキーです。26号室です。」


僕「ありがとうございます。今日は本当にいろいろ連れまわしちゃいましてね。おやすみなさい。」


山田「ありがとう。本当に楽しい一日でしたよ。2日目にしてバリ島の魅力もずいぶんとわかってきました。おやすみなさい。」


僕と山田は、エディとそんな会話を交わし今日という一日を終了とした。


僕と山田が部屋へ着くと山田がこう告げた。


山田「今日は本当に中身の濃い一日でした。俺もバリアンからヒーリングしてもらって、なかなか体験できないことをさせていただきましたよ。酒井さん、本当にありがとうございました。」


僕「こちらこそ。山田君もバリアンからヒーリングしてもらってよかったですよね。なかなかこんな機会もないでしょうからね。山田君もバリアンへ呼ばれていたんじゃないんでしょうかね。」


山田「酒井さんとの出会いの意味も分かったような気がします。なんだか2年前のハノイからすべてがつながっていますね。」


僕「今日一日は、時間のつながりの中で、人とのつながりも実感できた感じでした。今日一日は本当に充実していましたね。」


山田「本当、俺もバリ島へ呼び寄せられたって感じですよ。本当に来てよかったです。まだ2日しか経っていないですけどね。」


僕「お互いバリ島へ来たって意味は、明日、わかっちゃたりしてね。バリアンのヒーリングで今回の回答はほぼ出尽くしたって感じですね。」


山田「そうですよね。明日も何かがありそうですよね。この不思議なバリ島ですから。さすが神様の棲む島ですよ。」


僕はそんな会話を山田としながら、バスタイムの用意をし始めた。


僕「山田君、バスタイムはどちらが先にしますか。僕はどちらでも大丈夫ですよ。」


山田「了解です。俺、今日の画像を見直したいので、バスタイムは酒井さんの後でも大丈夫ですよ。」


僕「了解。じゃ、先に僕がバスタイムするとしますね。」


山田「はい、了解です。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る