第4話 Unexpected events (予期せぬ出来事)

山田へは、今回タームであると12日間のバケーションと伝えてあった。山田も僕と一緒の期間バリ島へ滞在可能のようだった。山田は、今回はエアーチケットだけを手配していた。僕は、あらかじめいつも滞在するホテルへFAXとメールを入れておいた。ホテルのリザベーションには問題なかくとれた。


昨夜というか実際のところは今朝だが、山田も追加で一緒のホテルに滞在できるようリザーブしたとメールで知らせた。ホテルからもリザーブ完了のメールが送信されてきた。山田も今回は突然の渡航となったため、フライトチケットのみの手配だったようだ。ステイホテル手配完了の件を山田に伝えると喜んでくれると思う。


今回のバリ島へは山田にとって、初めてのバリ島だから観光にも付き合うつもりだった。僕のおすすめのスポットを厳選チョイスしたいと思う。バリ島は、僕にとって何度訪れても本当に神秘的で心休まる特別な場所だ。神々の棲む島といわれるぐらいだから、神秘さや妖艶さが満ち溢れている。僕は、山田にはそのバリ島のすばらしさを体感してもらいたいと思った。何と言ったってバリ島は島全体がパワースポットだから。


僕はそんなことを考えながら、リムジンバス乗り場のバス停へと向った。僕は間もなくするとバス停へ到着した。


東の空には朝日が昇りはじめて、朝のすがすがしさが満ち溢れてきている。夜闇の静寂から活動の時間へと切り替わっていく。僕がバス停でバスを待っている間、山田からのメールの受信が何度かあった。


確認したところ、山田も最寄り駅から、電車へ乗車したとの報告メールであった。いよいよ二人の旅の始まりとなる。今回もまた、いろいろな出来事が起こるのであろうかと考えると、ワクワクドキドキで楽しみであった。


空港行きのバス停で待っていると、次々とリムジンバスの乗車客たちが並び始めた。辺りには早朝の空気が満ちてきている。まもなくすると乗車予定時刻のAM6時20分より前にバスが到着した。バスのドライバーへそれぞれの降車ターミナルを伝えて荷物をバスのトランクへと預けた。


今回のバリ島への渡航は、僕のとっても、山田にとっても、なんだか深い意味がありそうな予感だった。それに、マルチンの供養も兼ねての渡航となるため、僕は気が引き締まった。バスの乗降口が開き、僕はバスの車内へと足を踏み入れた。


リムジンバスに乗り込んだ僕は、「ほっと」一息って感じだった。バスに乗り込んだときには、まもなく夜が完全に明ける気配があたりに満ちってきていた。僕はバスの車窓から、外の景色をぼんやりと眺めている。辺りは徐々に朝焼けに包まれてきた。この時間帯の空景色は、僕は好きだ。夜の闇から解放され、ようやく明るい朝へ切り替わる景色、それが、未来への道筋をいざなっているように感じるからだ。


僕はリムジンバスに揺られながら、成田国際空港へ向かっていく。成田国際空港までは、約2時間の道のりだ。その間に、改めて山田とメールのやり取りをしておかなければと思った。


空港までの道のりは順調でバスは走行している。乗車中の時間の流れは、非常に早く感じた。気が付くと目的地である成田国際空港への到着アナウンスが流れはじめた。成田国際空港第1ターミナルへ到着した。


あっという間に感じたバス車内での時間であった。到着後、山田からもメールで返信があり、京成日暮里駅からスカイライナーへ乗車し、もう少々で成田国際空港第一ターミナル駅へ到着すると返信があった。まもなく僕と山田の到着する時間だ。お互い丁度いい時間で合流できそうだ。


僕は山田へ成田国際空港に到着したメールを送信した。山田からも到着したとメールがすぐに受信された。僕は山田のメールへ返信した。少し早めに空港内へ到着した僕は、第1ターミナルの北ウイングにあるカフェで待っていることを知らせた。


現地通貨のインドネシアルピアは成田国際空港内でチェンジできるため、その情報も山田へ伝えた。成田国際空港が直接経営している両替所があり、大手銀行系の両替所よりレイトがいいと情報提供をした。


現地のバリ島においては、米ドルよりも現地通貨のインドネシアルピアが便利であるため、その情報も追加で伝えた。とりあえずは、インドネシアルピアでバリ島へ到着して夕食代ぐらいは用意しておきたい。日本円で5000円ぐらいのチェンジで大丈夫と伝えた。僕も前回のインドネシアルピアがかなり残っているためだ。


余談だが、インドネシアルピアをどうしてもルピーという人がいる。ルピーはインドの通貨なのにといつも思ってします。山田も最初はルピアとルピーが同一だと思っていたらしい。


山田は初めてのバリ島のため、絵文字などをふんだんに使い、わくわくしている様子が受信メールからもうかがえた。


間もなくすると、山田から僕のスマホへ着信があった。


山田「おはようございます。酒井さん。昨晩は返信ありがとうございます。連絡がうまくとれなかったら、どうしようかってちょっと不安だったんですよね。突然の出来事だったんで。でもまた、御一緒できるのですごくうれしいです。俺、バリ島は初めてなので、楽しみなんですよね。今回もまた、酒井さんの金魚の糞のように付いていくので、よろしくお願いします。」


僕「山田君。おはよう。こちらこそ、よろしくお願いです。僕は今回で30回目のバリ島なので安心してついてきてください。そろそろ待ち合わせ場所のカフェへ到着しそうですか。」


山田「はい。インドネシアルピアもチェンジできる準備はしています。酒井さんの言われた通り、とりあえず5000円分のチェンジをしたいと思います。」


僕「じゃ、後程レイトの良い両替所まで一緒へ行きますね。お金の桁数が日本円とは違うので、びっくりしちゃう金額になっちゃいますよ。搭乗時間までゆっくりと時間をとっていますので、余程のことがない限りバタバタしませんからね。安心してください。」


山田「了解です。酒井さんの姿が見えてきました。俺、もうそこにいますよ。」


僕「じゃ、お待ちしていますね。待ち合わせ場所は、わかりますか。朝早い成田空港だから空港内も混雑してないですからね。」


山田「大丈夫だと思います。ナビを使っていますから混んでないですしね。」


僕「了解。それじゃ、カフェで待っていますね。」


山田「はい。すぐに到着すると思います。」


本当にそんなメールのやり取りをしている間に、山田は、僕が待っているカフェへ到着した。


カフェは、成田国際空港第1ターミナルの北ウィングのGゲート近くにある中二階であった。僕の座った席からは、成田国際空港の各航空会社のチェックインカウンターの様子が一望できる。早朝にも関わらず、多くの出国客が右往左往している。


山田「おはようございます。酒井さん。お待たせいたしました。」


僕「山田君、おはよう。朝早かったけど大丈夫でした?まだ眠いんじゃない?」


山田「いえいえ、大丈夫です。俺、初めてのバリ島で、すごくわくわくしちゃっていますよ。海外へ行くときはいつもワクワクしてるんですけどね。今回のバリ島への旅行は、本当に偶然というか何かの導きを感じるぐらいの突然でしたよ。俺も今回は酒井さんと一緒に行けないなって、はじめは思っていたんですけどね。突然、スケジュールの調整ができたんですよ。本当に不思議でした。」


山田は、僕が座っている窓際の席へ到着した。成田国際空港は、非常にきれいなブリリアントブルーの青空に包まれており、カフェの窓からは朝のさわやかな日差しが少しだけ差し込んでいた。


僕「山田君、こちらこそよろしくです。」


山田「俺、バリ島ってすごく興味を持っていたスポットの一つなんですよ。なんだか神秘的な感じの場所なので、心惹かれちゃいますよ。そういうミステリアスになんだか惹かれちゃうんですよね。」


僕「そうなんですね。実は、僕もバリ島は大好きなスポットなんですよ。今回もバリ島のパワースポット巡りと、バリアンに会うために行くんですけどね。山田君は、初めてのバリ島だから、観光もしようね。きっと気に入ると思うよ。」


山田「まっじっすか。俺、超うれしいんですけど。」


僕「今回のバリ島の宗教って、ヒンドゥー教とバリ島の土着の宗教がミックスされたバリ独特のバリヒンドゥーって言われているんですよ。いわゆるヒンドゥー教とは少々違うんですよね。そんなところもバリ島の独自の文化となっており、面白いところでもあるんですよ。」


山田「そうなんですね。まじ、楽しみです。早くバリ島へ足を踏み入れたいですよ。バリ島の空気感を早く感じ取りたいって感じです。というよりは、酒井さんと一緒ってところが一番うれしいんですけどね。」


僕「そういっていただけると、僕も山田君へバリ島の紹介のしがいがありますよ。ところでバリヒンドゥーのメッカとされている場所が、アグン山、活火山なんだけど。そこもなかなかきれいな景色が見られるスポットなんだよね。インスタ映え間違いないよ。今回行きたいのが、ブサキ寺院とアグン山を一つ越えたところにあるランプヤン寺院という寺院なんだよね。今の時期は観光客も少ないから、きっとプラスのエナジーをジンジンと感じられるんじゃないかとおもっていますよ。」


山田「そこ、アグン山にあるブサキ寺院とランプヤン寺院に、俺、すっごく興味惹かれますよ。俺も行ってみたいと思っていたところなんですよね。」


僕「ところで山田君、何か食べますか?」


山田「買ってきますよ。俺。」


僕は山田へそう告げてレジへと向かった。実のところ僕ももう一口何か食べたい感じだったからだ。


僕「大丈夫ですよ。ご馳走しますから、何か食べたいものありますか。」


山田「ありがとうございます。それじゃ、お言葉に甘えて、モーニングセットか何かあれば、それでお願いします。」


僕「じゃ、オーダーしてきますね。ここで荷物をみておいてくださいね。」


山田「はい、わかりました。ラジャー。」


僕は、そういいながら、モーニングセットをオーダーし席へ戻った。ドリンクは山田が好きなコーヒーにした。山田が窓の外を眺めていた。


僕「山田君、お待たせ。」


山田「酒井さん、いつも本当にありがとうございます。酒井さん、成田国際空港、今日はすごくいい天気ですね。」


僕「そうなんだよね。天気もいいし、旅立ちにはぴったりの日和だよね。」


山田「そういえば、俺が酒井さんと出かける時って、決まって天気がいいですよね。」


僕「そうなんだよね。実は、昔から晴れ男なんだよね。大抵僕がどこかから帰ってから、現地へモンスーンが発生したり、地震になったりってあるんですよね。」


山田「じゃ、俺、ラッキーですね。酒井さんとご一緒できて。天気もいいし。言うことなしですよ。」


僕「これも山田君との何かの縁なんでしょうね。」


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