第5話 Departure(旅立ち)
こんな他愛のない会話を楽しみながら、バリ島への旅立ちの気分は上々になってきた。僕と山田のカフェタイムが終わり、時間的には出発のいい感じになってきた。気が付けば、10時前の時間帯になっていた。フライトは11時台だったので、そろそろゲートへ移動することとした。
山田「酒井さん、俺、インドネシアは入国初めてなんですけど、どんな感じですか。」
僕「そうですね。インドネシアは割と親日的で、特に今回行くバリ島は、本当にゆっくりと過ごせるところですよ。バリ島は、神々の棲む島としても有名なので、ミステリアスな空気感が現地にはありますね。」
山田「そうなんですか。俺、すごく楽しみなんですけど。酒井さんとご一緒なので安心できます!」
僕「きっと、山田君もバリ島のことは気に入っていただけると思いますよ。」
僕と山田は、出国ゲートへ向かった。平日にもかかわらず、出国ゲートはかなりの混雑ぶりであった。
山田「酒井さん、出国ゲートは平日にも関わらずかなり混んでいますね。」
僕「そうだよね。想定外なんだけど。まぁ、こうゆうこともあるでしょ。」
山田「早めに動いていてよかったですね。何事も時間に余裕が必要ですよね。余裕があると心にもゆとりができちゃいますよね。」
僕「ギリギリだったら、バタバタしそうですよね。」
山田「きっとバタバタしていましたよ。それはそうと、酒井さん、ガルーダ・インドネシア航空は、どんな感じですか?」
僕「そうですね。日本でいうとJALと同じ感じだから、割と機内サービスはいいと思うよ。CAは、大半がインドネシア人の方ですが、日本人のCAも必ず登場しているみたいですよ。以前は、ガルーダ・インドネシア航空でインドネシアへ入国すると、機内で入国手続きをしてくれていたんだけど、最近はそのサービスが廃止になったみたいだね。そのサービスがあるとないとでは大違いだよね。現地についてからですけどね。」
山田「そうなんですね。それは残念ですね。」
僕と山田はふと気が付くと、出国ゲートの列を見ると僕たちの後ろもかなり列をなしていた。
僕は早く並んでいて、本当によかったとつくづく感じていた。僕と山田は、出国手続きも無事に終わった。搭乗ゲートを目指して僕と山田は並んで歩いて進んでいった。GATEまでの道のりは、いつも旅立ち気持ちが高揚している。
今回は、モノレールでの空港内移動はなかった。モノレールでのゲート移動は、なんだか離れ小島へ移動するような感じで心細くなる。今回はそんなことはないので一安心だ。それに山田も一緒だから心強かった。
山田「そうそう、今回のバリ島へ行けることになったのは、突然、決まっちゃた感じですよ。出発を決める一週間前まではスケジュール調整ができていなかったんですよね。それが不思議なことに急遽スケジュールが変更になり、半月時間ができたって感じだったんです。ということで、時間ができたので酒井さんと一緒にバリ島へ行きたくて、今回のスケジュールを決めちゃったって感じですね。俺、インドネシアに非常に興味があるのでバリ島へ行けることは、すごくうれしいんですよね。」
僕「そうなんですね。僕は、今回、日本で疲れちゃったんでエナジーチャージですよ。バリ島は、島全体が僕にとってパワースポットなんで、疲れたときはエナジーチャージをこの島でしちゃうんですよ。特に何かするってことでもないんですが、バリ島に滞在するだけで、僕にはエナジーチャージできちゃうみたいです。なんたって神様の棲み島ですからね。」
山田「俺も、就活なんかで疲れちゃったんですよね。エナジーチャージできますかね。」
僕「山田君もエナジーチャージできると思うよ。感性が僕と近いからね。」
山田「そうですね。俺もそう思います。」
そんな会話をしながらGATEまで向かっていると、あっという間に僕と山田は、搭乗ゲートへ到着した、搭乗時間までは、まだ40分程度あった。
僕「じゃこのあたりに座ろうっか。」
山田「そうですね。ここからの景色は空港が一望できますね。それにあの目の間に留まっている機体が、これから俺と酒井さんが搭乗するんですね。なんだか気分が上がってきます。」
僕「そうですよ。あの機体に搭乗してバリ島までひとっ飛びですよ。」
山田「まじ上がってきます。俺、ちょっとトイレへ行ってきます。」
僕「じゃ、荷物を見ておくから、大丈夫ですよ。」
山田「ありがとうございます。」
僕は、ウエイティングルームで山田を待っていた。その間にFaceBookで自分の仕事を始めた。僕のページへは、5000人の人とつながっているため、「いってらっしゃい」メッセージがかなり届いていた。僕は、それぞれにお礼の返信メッセージを送信していた。
間もなくすると、山田がトイレから戻ってきた。成田空港内には、フリーWIFIが備わっており、ネット環境もかなり整っている。さすが日本だと感心してしまう。というか、世界中の主な空港では設備はそうなっているのだが。
山田「酒井さん、お待たせいたしました。」
僕「いいえ。僕も仕事をしていたので、大丈夫ですよ。」
山田「間もなく搭乗ですね。」
僕「そうだね。いつものようにパスポートとエアーチケットは準備をよろしくね。」
山田「はい。了解です、酒井さん。」
搭乗開始アナウンスが流れ始めた。この瞬間って、かなりドキドキする。いよいよ旅立ちなんだなって思う気持ちであふれてしまう。山田を見ると、彼もなんだかワクワクのドキドキの様子だった。こういった空気感って、自然と伝わってくるものだなとつくづくと思った。フライトもいつもの航空会社なので、緊張はしないけれども、僕は旅立ちのワクワク感は隠しきれなかった。
山田「酒井さん。俺、なんだかドキドキのワクワクですよ。搭乗のこの瞬間って、俺、大好きなんですよね。未来への扉を開けていくって感じがして好きなんですよ。」
僕「山田君の言う通りだね。僕もこの瞬間が好きなんですよね。偶然というか奇跡というかこの先にどんな出会いが待っているのかが、楽しみなんですよね。」
山田「俺もその気持ちわかります。」
僕たち二人は旅立ちの高揚感に浸っていた。僕と山田、僕たち二人は、搭乗アナウンスとともに、一歩一歩と機内へ足を踏み入れていった。
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