港町編5 世界について少しだけ
私は安っぽい綿のベッドで寝ています。昨日はよく分からない化け物と戦って……よく思い出せません。
頭をさすりながら体を起こすと、近くでリーチェが何かを書いています。
「リーチェ聞きたいことがあるんだけど」
「細かい話は外でしようかな」
私はベッドを降りて、喉乾いている上にトイレに行きたい気持ちを抑えてリーチェについていきます。リーチェは普通の道に出ます。私は知っていますよ、デスノートでやってましたもんね、大事な話は人通りの多いところでするとかなんとかを。
「それでリーチェに聞きたいことがあるんだけど」
「どうしたんだ」
今日のリーチェは初めからそういう感じですか
「何で起きたら、私の口の中に茶色い髪が入ってたの?」
「お前を背負って走り回らないといけない状況になったからな、ちなみにお前は誰かに命を狙われるような心当たりはあるか」
「あるかと聞かれればあるような?」
「なんだ」
「ドラゴンを狙ってるやつらがいるのは間違えないと思う」
「しばらくは危険かもな」
「ドラゴンさんの力は多分三日は戻らないと思う」
「分かった、今度は私からの質問だが、元の世界に帰る何かしらの手段を見つけられたか」
「さっぱり、師匠も知らないみたいだし無理」
リーチェは小さくため息をついて次の会話に移行する。
「お前は昨日出会った化け物について何か知っているか」
「あそこまで強い虫は初めてだよ、普通に最初油断してた」
「なるほど、それじゃあ私が知っている範囲で話す。まずあの虫達とはある宗教が関係しているらしい、その宗教の名前はユグドラシル」
「なるほど、この世界に元と同じ神話はあるの?」
「私が調べた限りではない、少なくともユグドラシルが出る北欧神話はこの辺りでは発見できなかった」
「北欧って言うけど、この辺りは現実に直すとおおよそイギリスなんでしょ」
「イギリスの辺りまで北欧神話は伝わっている、正史ならな」
「ふーん」
「それと、この世界の転生者について調べた」
「帰るためには、まず来た人から調べるってことか……」
「この世界に最初に来たのは、調べられる範囲だと三十年前」
「結構昔からいるんだ……」
「日本においても千九百九十年代には魔法世界の本はあっただろ、異世界転生の走りとなるものも」
「あってもおかしくはないけど、その人たちは何処へ?」
「探しても、十年より前の転生者とは出会ったことないけど」
「そこが分からない、死ぬのか、元の世界に帰るのか、はたまた全く予想のつかない結果になるのか」
「今の内にやれることやっとかないといけないって事かー」
「楽観的だな」
「そもそも私達は一度死んでるんだから。そんな中で生き延びる方法を探すっていう方がおかしいと思うけど」
「お前はそうかもしれない、だが私は帰らないといけない」
「まあ、協力できる範囲なら何処まででもやるよ、私は」
「そうか、それなら聞きたいんだが、アイリス・イベールは何者だ物凄い弓の腕を持っていたが」
「えっ!何それ全然知らなかった」
「まあいいか、それじゃあ昼食だけこの町で食べて、出るぞ」
「ドラゴンさんが戻るまで待たないの?」
「急ぎたい用事がある、それに酔い止めはあの一つで終わりだ」
「次出されても飲まなかったけどね」
「さっさと行くぞ」
リーチェに連れられ元の道まで戻る。
まったく、この世界はまだ私の知らないことだらけのようですね。
当面はリーチェを協力しますかね。
乗り物酔いが激しい私が転生して竜騎士になりましたがドラゴンが言う事聞きません ゲロインとクレイジーな仲間達がスローライフを送れない物語 @Iwashi184
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