夕方になった頃、誰かが僕の部屋のドアをたたいた。

「こんにちは」

隣人の女の子だった。

「ごめんね、今は隣の部屋に入れないんだ」

「そう言えは、部屋の中から音がしてたね」

「迷惑かけちゃうね」

「そんなこともないよ。なかに入りなよ」

「ありがとう」

隣人は僕の部屋に入ってきた。

そう、画期的なことが起こっている。僕以外の人間がこの部屋に入ったのは彼女が初めてだった。

「処女が破れた」

女の子が僕を見る。

「何言ってるの。あたし違うよ」

「ゴメン、君がこの部屋の処女を破ったんだ」

女の子はすこしニヤけて僕を見る。そして、クスっと笑った。

「そうゆうこと。それは光栄です」

「まあ、座ったら」

僕が畳に腰を下ろした。

「そうするね」

女の子はそう言ったあと、スカートを脱ぎはじめた。ドサッとスカートが畳に落ちて、僕が見上げる前で、ストッキングを脱ぎはじめた。

「あたし嫌いなの、これ」

彼女はそう言って、ストッキングを握りしめた後、畳に落ちたスカートを拾い上げて穿きなおし、ストッキングは畳の上に転がった。

柱に寄りかかって座った彼女の生足と下着が見えた。

「ジャージでも履く。大きいかもしれないけれど」

「あたしのパンツ見たくないの」

「そうゆうわけじゃないけれど」

「あたしはね、これをあなたにとっての風景にしたいの」

ニヤリと笑う彼女。

「ということは、僕は男として見られていないってことか」

「そんなことはないのよ。ただあなたに、あたしだけはミステリアスな隣人として見てほしくないの。それだけ」

十分ミステリアスじゃないか。僕は戸惑ったまま、彼女を見る。

「隣で何してるか、わかってる」

彼女は僕を見つめながらそう言った。

「テレビを見てるのかな。さっきからニュース番組の音がする」

「知ってるくせに」

「隣にいる女の子はね、秘め事をしてるの。女の子にそれが必要なのは、あなただって知ってるでしょう」

僕には目の前の女の子の足が徐々に開いているように感じる。

「したくても、環境に恵まれていない子がいるのよ。その子たちが使う部屋を、あたしが提供してるの。だからあなたにも協力してもらいたいの」

彼女が急に立ち上がった。

「よろしくね、ユズル君。あたしはミオ」

そう言って、彼女はストッキングを拾う。

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