7
夕方になった頃、誰かが僕の部屋のドアをたたいた。
「こんにちは」
隣人の女の子だった。
「ごめんね、今は隣の部屋に入れないんだ」
「そう言えは、部屋の中から音がしてたね」
「迷惑かけちゃうね」
「そんなこともないよ。なかに入りなよ」
「ありがとう」
隣人は僕の部屋に入ってきた。
そう、画期的なことが起こっている。僕以外の人間がこの部屋に入ったのは彼女が初めてだった。
「処女が破れた」
女の子が僕を見る。
「何言ってるの。あたし違うよ」
「ゴメン、君がこの部屋の処女を破ったんだ」
女の子はすこしニヤけて僕を見る。そして、クスっと笑った。
「そうゆうこと。それは光栄です」
「まあ、座ったら」
僕が畳に腰を下ろした。
「そうするね」
女の子はそう言ったあと、スカートを脱ぎはじめた。ドサッとスカートが畳に落ちて、僕が見上げる前で、ストッキングを脱ぎはじめた。
「あたし嫌いなの、これ」
彼女はそう言って、ストッキングを握りしめた後、畳に落ちたスカートを拾い上げて穿きなおし、ストッキングは畳の上に転がった。
柱に寄りかかって座った彼女の生足と下着が見えた。
「ジャージでも履く。大きいかもしれないけれど」
「あたしのパンツ見たくないの」
「そうゆうわけじゃないけれど」
「あたしはね、これをあなたにとっての風景にしたいの」
ニヤリと笑う彼女。
「ということは、僕は男として見られていないってことか」
「そんなことはないのよ。ただあなたに、あたしだけはミステリアスな隣人として見てほしくないの。それだけ」
十分ミステリアスじゃないか。僕は戸惑ったまま、彼女を見る。
「隣で何してるか、わかってる」
彼女は僕を見つめながらそう言った。
「テレビを見てるのかな。さっきからニュース番組の音がする」
「知ってるくせに」
「隣にいる女の子はね、秘め事をしてるの。女の子にそれが必要なのは、あなただって知ってるでしょう」
僕には目の前の女の子の足が徐々に開いているように感じる。
「したくても、環境に恵まれていない子がいるのよ。その子たちが使う部屋を、あたしが提供してるの。だからあなたにも協力してもらいたいの」
彼女が急に立ち上がった。
「よろしくね、ユズル君。あたしはミオ」
そう言って、彼女はストッキングを拾う。
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