コンビニの外で待っていたけれど、ドミトリーは来なかった。仕方なくタバコをひと箱と百円ライターを買ってもう一度外に出る。銘柄は迷ってキャメルにした。タバコを買うなんていつぶりだろう。記憶が遠すぎて思い出せない。

「タバコ吸わないのか」

「たばこ代がバカにならなくて止めた」

「高くなったからね」

 そう言いながら、イワノビッチはタバコの箱を僕の前に差し出した。

「一本吸いなよ」

「吸ったら止まらなくなる」

「買わなきゃいいんだよ。俺と会った時だけ一本吸えばいい」

 言われるままに、タバコを一本貰って吸ってしまった。

 遂に悪循環に陥るのか。そう思いながら、大きく煙を吐き出した。

 タバコを一本吸った後、コンビニの中に戻り、とんこつ味のラーメンを買う。その場でお湯を入れて、イートインコーナーに。さっきまで混んでいたけど、人がはけていた。というより、そもそも人がはけたのことを確認して中にはいってきたのだ。

 奥に行こうとしたら、人がまだいたので、入ってすぐのところで食べはじめた。まだ残っていたんだ。見た感じは若い女の子だな。珍しいけど、全く見かけないわけではない。やはりカップ麺を食べている。ロイヤルミルクティーを飲みながら。ちょっとすごいな。かなり甘いはず。それは僕には無理だ。

 僕と奥の女の子は、ほぼ同じタイミングでラーメンを食べ終える。僕がラーメンのスープを飲み干そうとしているときに、僕の後ろを通過していった。

「スープは飲み干さない方がいい」

「でも美味しいから」

「死の誘惑だよね」

 ドミトリーとの会話を思い出す。

 コンビニを出ると、灰皿のところで女の子がタバコを吸っている。

 食後の一服。これでタバコがやめられなくなる。ここは女の子もいるし、そのまま帰ろうかと歩き出すも、フラフラと灰皿の方に。ジロジロ見てると思われるのはイヤだから、自販機でお茶を買って、少し離れたところに立ってタバコに火をつける。

 不思議な緊張感が辺りを覆っていく。男同士なら、そんなことはないんだが。お互いに意識しながら、意識しないふりをしている。灰を落とそうと灰皿の方を向いた時、女の子と目が合った。自分より少し年上に見えたが小柄な可愛い子だった。女の子は吸い終わったタバコを灰皿に入れて、コンビニを離れていく。

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