第16話 消えている母の思い出

 書斎の棚に置かれた小箱を、そっと手に取る。

 蓋を開けると、聞き慣れた音がゆうの耳に響いた。

 尤も通った小学校の校歌が流れる小箱は、母が図工の時間に作成したもの。宝石箱だと聞いているが、今は何も入っていない。母の宝物はどこに行ってしまったのだろう。唇を噛み、尤は首を横に振った。

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