最強過ぎるパーティーメンバーの中で俺は何が出来る?

司馬崎イツカ

プロローグ

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 この世界が誰かが紡いだ物語なら一体俺はどんな役割を与えられたのだろうか。



 きっと主人公では無いことは確かなのだ、誰かの物語に少しだけ関わっているだけの端役でしかないと俺は考えていた。


 俺は目の前に佇む男性を前に語る。彼の足元には人間一人分が丁度入る大きさの魔法陣があった。


「きっとこれが俺に与えられた役割なんだと思いました。俺にしかできない、俺だけの宿命。これは俺が果たさなければ行けないことなんだと思うんです」


 男性は複雑な表情をしていた。まるでそのことに対して罪の意識を抱いているとでも言わんばかりに罪悪感の篭った顔をしていた。


「··········君は、その選択に後悔はないのかい? 本来であれば大人の僕がその役目を背負うべきだ。まだ若い君が無理をして選ぶべきものでは無いはずだ」


「客観的に見れば確かにそうかもしれません」


 ならば、と男性が言った後、俺は言葉を続ける。


「でも、俺は色んな選択肢の中からこの役割が自分の人生であると定めたんです。だから、何も心配しないでください。貴方は、どうか貴方がすべき役割を全うしてください」


 自分のすべき役割、その言葉に反応して男性はこれ以上止めることが出来ないことを悟ったのか出掛かっていた言葉を飲み込み、そして静かに語る。


「··········すまない、今世の別れかもしれないがあえて祈らせて欲しい。どうか君の人生が幸多きものである事を」


 俺は魔法陣に魔力を込め、そこに刻まれた能力を起動させると男性は足元から煙のごとく消えていった。



 部屋が静寂に支配される。約束は果たした、その達成感が俺の中にはあったがまだやらなければならない仕事があるため頭を切り替えねばならない。部屋の中に立て掛けてあった一振りの細剣を外して腰に差す。


 自分の中でこれからやることは決まっている、そのことだけを頭に強く意識し一言呟く。


「さて、最終戦争だ」


 すると部屋の扉が開き複数名の男女が入ってきた。彼らはいずれも武装をしているが戦いに行くにはいささか人数が少ない。しかし俺にとってこのメンバーで十分だった。そんな彼らを鼓舞するために俺は声を張り上げた。


「お前ら出番だ! 墓標は立てたか? 遺言状は? もし死んだら残して置かなきゃならんものは準備したか? なに、してないだと?」


「だったら是が非でも生き残ってやろうじゃねえか、勿論俺も何も遺していないからな!」


 あまりにも鼓舞にしては後ろ向きな言葉なのは仕方がない、なにせここからはを相手にしなければならない。だがそれでも為さなければならない役割がある。


 俺は剣を抜くと天を指して大声で宣言した。


「戦いの準備はいいか! なら明るいうちに終わらして夕飯までには凱旋すっぞ、こっからはハイスピードで進めてやらぁ!」


「最小人数での! それが俺達に与えられた役割だ!」


 俺が異世界に召喚されて数年、俺に与えられた役割を果たすべくそれはまるで自殺志願者と同義として死地へと歩き出した。




 

 

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