第4話 第二配送センター配送課
追放されたタダノは、第二配送センター配送課で働くこととなった。
そこは、注文を受けた荷物を配達するだけの部署である。
志気もなにもあったモノではなかった。
ただ、だらだらと言われたものを届ける始末。
そのおかげで、配送遅延、誤配送は当たり前であった。
しかし、一配達員となったタダノは、必死で働いた。
周りに流されることなく、お客さんの事を思って必死に走る。
一分でも一秒でも早くお客さんの元へ。
今欲しいという願いを届けるために、すぐさま行動した。
そんなタダノ行動は、配送センターでも有名になっていった。
配送に命をかける男タダノと言えば、知らぬものがいないほどであった。
そんなタダノが、配達員から課長に昇るのに時間はさほどかからなかった。
課長となったタダノのやる気はさらに燃えた。
鬼! 鬼畜! 閻魔大王!
様々なタダノのあだ名が乱れ飛んだ。
それもそのはず、タダノが出した課内の掟は非情な物であった。
注文を受ければ5秒以内に即配達!
注文間違いは即死刑!
文句を言ったら、即減給!
もうブラック中のブラックである。
しかし、この規則を設定することによって、第二配送センターの評判はうなぎのぼり、そのおかげで、megazonの評判も次第に良くなっていった。
そんな折、一つの話が配送センターに舞い込んできた。
それも、今日と同じ雪が降るクリスマスの時だった。
本社から来ていた社員たちが、偉そうにタダノの椅子にふんぞり返って茶を飲みながら話をしていた。
「megazon本社のトイレで、男が首を吊ったらしいぜ」
まぁ、ブラックのmegazonの事である、自殺者などそう珍しいものではない。
だが、自分の机に戻ることができないタダノは気になった。
「なんでも第9営業部だそうだぜ」
「あぁ、知ってる。マメジの事だろ」
――マメジが死んだ……
「イヤマ部長のいじめ常軌を逸していたからな……」
「でも、マメジがいなくなったら、次はだれがターゲットだよ」
――イヤマのいじめでマメジが死んだ……
タダノは、自分の手の震えを必死で抑える。
しかし、震えは収まらない。
――イヤマァァァア!
この時、タダノは復讐を決意した。
しかし、相手は本社の営業部長、こちらは配送センターの一課長である。
役職、信用、人脈、全てイヤマの方が上である。
どうあがいても勝てはしない。
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