初陣はお手柔らかに

「わ・・・若!!」


「おお、すまん。考え事をしておったわ」


俺が転生したときのことを思い出していたらいつの間にか結構時間がたっていたわ。


「若、本当に大丈夫ですか。某が見る限り若はそこら辺の将には負けぬぐらい強くなっておると思いますぞ。」


志賀の陣で死なないために今できることを考え俺は自分自身を強くすることと有能な家臣を雇うこととした。

俺には槍の才能があったらしくめきめき成長していった。武道派で美濃で知られているらしい守家の中でも上位のほうに入るぐらいには成長できた。

家臣については森家の給料ではもう雇えないらしく戦働きをして稼ぐしかなさそうだ。

今話しかけてくる家臣も俺の初陣につけられた親父の家臣だ。

俺の教育係でもあって小さい頃からビシバシ鍛えられた。


「ああ、何といってもお主が鍛えてくれたからな」


「某、そう言っていただけるなんて感激ですぞ」


「お、そろそろ戦が始まるみたいだぞ。精一杯頑張るか。」


「某も腕が鳴りますな」


そうこう思い出話にふけったり今までのことを思い出したりしていると戦が始まった。

さ、俺はずるいから相手の位が高そうなやつが出てきたら首を取りに行くか。

だらだらしながらたまに来た足軽を殺し30分ぐらいたった時、明らかに鎧が周りと違うやつができてので首を取りに行くことにした。


「やあやあ、そこにおられるものに一騎打ちを挑みたい。」


「お受けいたそう。某は土岐彦四郎頼武様が臣、村井左衛門成正と申す。貴殿の名は」


「某は土岐彦四郎頼芸様が臣、森三左衛門可行が嫡男、森三左衛門可成と申す。」


「「いざ、尋常に勝負」」


小さい頃から栄養をしっかりと取り鍛えていたにもかかわらず背が思うように伸びず化粧をしたら女子に見えてしまうぐらい体が細い俺は力勝負に持ち込んだら歳による力の差で負けてしまうので短期決着を目指すことにした。

俺の槍は他の人に比べ少し短い。これは俺の戦術に関係しているのだ。

小さな体格を生かして素早く相手の懐に入り込みに行き槍で突き刺す。

そしてそれが外れたら相手と打ち合いまた相手にスキができたら懐に入りこみ突き刺す。

いわゆる一撃離脱を繰り返し倒すのだ。

俺はそれを一生懸命練習してきた。


先手必勝だと思い一発目言ったが見事にいなされてしまい、硬直常態に陥った。

どちらもスキが生まれず決定打が生まれない。

そのまま10分ぐらいが立ち両方の疲れがたまってきた時相手に少しスキができた。


「うおおおおりゃああ!!」


「ぬううううぅぅ!!」


「ごほっ」


よし、これはやった。


「見事っ」


「森三左衛門可成、村井三左衛門成正打ち取ったなり」


「殿さまがやられたぞ」


「もう無理だ。村に帰るだあ」


「若、やりましたな。大物ですぞ。」


「おお、秀正。おったのか。」


「ええ、まだ改善するところはございますがとりあえずは合格でしょう。」


「厳しいな。それで何か変わった動いたか。」


「ええ、それが彦四郎頼芸様が敗走し、御味方の負けでございます。」


「なに、それはつたないのではないのか。」


「それには心配及びませぬ。館まで帰ったときに話しますので引き上げますぞ」


俺は秀正の言った通り、もともと従えていた10騎位の兵と共に館に帰った。

森家は土岐氏に500貫で使えており城などは持っておらず館があるのみだ。

自前の兵力など持っておらず攻められたらすぐに負けてしまうだろう。父上はどうする気であろう。


「よく戻ったな。可成。首級をとったそうではないか。これは有利になるぞ」


「親父、早速だが御味方が敗北してなお余裕であることの訳を聞かせてほしいのだが。」


「ああ、それはなの儂は前から尾張の織田弾正忠家につなぎをいれておってな。もしもの時には1000貫で仕えさせていただけることになったのだ。」


「なるほど。それが余裕の態度の理由だったんですね」


「一週間後、弾正忠様に会いに行く。準備しておけよ。あとその場でお主に家督を譲るからあとは頼むぞ。」


「はっ」


「驚かないのだな。」


「ええ、父上もお歳ですから」


「ばかもん。儂はまだまだ現役じゃ」


信秀って言ったら信長の親父さんだよな。なんかこわそうだがどうにかなるだろう。

さて、三郎様に会いに行く準備をしなければ。

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