二度目の人生は寿命まで

九鬼嘉隆

まさかのテンプレ

「若、この戦、腕の見せ所ですな」


「ああ、ここで父上に認めてもらわなければな。」


本当は超緊張しているんだけどな。

なんたって初めて戦だ。

俺はこれから土岐頼武と戦いに行く。

これから俺の戦国時代の戦いの幕開けだ。

何でこんな言い方をするのかって。

それは俺が転生者だからだ。


俺はもともとしがない会社員だった。

普通の高校を卒業し、普通の大学に行き、普通の会社に入社した。

日本中、どこでもいそうな人の人生を送ってきた。

会社が超ブラックということを覗けばだが。

残業代が出ず毎日、日が変わるまで働かされ俺の心は限界だった。

そして仕事が終わってから睡眠をとりまた会社に出社する。

そんな生活をすればいつかは、と思っていたが以外にその時は早く来てしまった。

仕事中、急にめまいがし、すぐに体に力が入らなくなってしまった。

ざまあみやがれこれであの会社もおしまいだろう。

そう思いながら意識を落としてしまった俺が次目が覚めたら赤ん坊に転生していたのだ。


目が覚めた時にはずいぶん驚きパニック状態に陥ったが幸い、時間はたっぷりあったので冷静に情報を収集した。

始めは「異世界か」と思ったが、いまだに誰も魔法を使わないし、今まで見慣れたスマートフォンやテレビといった文明の利器も見当たらない。

そして何より聞こえてきた言葉だ。

親が「土岐氏」「織田三郎信秀」「斎藤新九郎利政」といっていて、歴史が特段得意でもない俺でもピンときた。

俺、戦国時代に生まれ変わってしまったみたいだ。

だが俺が分かっているのはそれだけだ。

尾張か美濃に生まれたのだろうとは思うが、誰の子供かが問題だ。

いくら下剋上の時代とは言え、限度がある。

農民から天下を統一した秀吉なんてごくまれな真似だ。

信長や家康のような戦国時代の中人人物は嫌だが一生食い物に困るような農民を嫌だな。

それはこれから情報収集すればはっきりするだろうな。

すこし眠たくなったから寝るか。


あれから一週間たち俺が誰の家に生まれたのかが分かった。

「森」という家らしい。

誰、と思ったがうちの高校の先生が歴時好きでよく戦国時代について話してくれたおかげで助かった。

森といえば「森蘭丸」と「森可成」だ。

後ろの方は俺も志賀の陣とかいう戦いで死んだくらいで他のことは知らない。

前のほうは有名だとおもう。

本能寺の変で信長と一緒に死んだ人だったはずだ。

俺が生まれたのは後者の森可成だ。

転生者チートが俺が知ってるような大きな戦いしか使えないのが残念だが生まれてしまったものは精一杯生きるしかないだろう。

まず俺が死んでしまう予定の志賀の陣で死なないようにまず対策を練ろう。


寿命まで生き抜いてやる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る