第4話 火の魔法少女アムリタ

 火の賢者であり、ならず者の支配者、ヴィグネイラーがつぶれたバジリスク亭に、4人の殺人鬼を連れてやって来た。

 店の客たちは顔色を変えて微動びどうだにせず、固唾かたずを飲んだ。

 ヴィグネイラーは手近な席に座り、葉巻を取り出し、口から吐いた魔法の火の息で、葉巻に火をつけて存分に葉巻を味わってから、殺人鬼たちに逃げ回っているグレイザークを探せと命令した。

 

 殺人鬼らが店内を闊歩かっぽしようと踏み出した途端、店の主人おやじのソウルが彼らの前に立ちはだかった。


「ソウル。そこをどけ。邪魔をするならば、悪魔ヤカーンとして討伐するぞ」


 ヴィグネイラーが低い地割れの様な声でソウルに呼びかけた。


 ソウルは殺人鬼の一人かち上げながら、ヴィグネイラーの静止を無視した。

 

悪魔ヤカーンきか。仕方ない。客もまとめて討伐するんだ!やってしまえ!!」


 ヴィグネイラーの指令が出ると殺人鬼たちは分散して事に当たった。


 ソウルは殺人鬼の長兄ジルワンと戦い、次男カッポラは地下室に向かった。三男ガルジッチェは客を怒鳴りつけ、四男ダンテハロイテはヴィグネイラーの側に立っていた。


"ソウルがジルワンに向かって強烈な一撃!"


 ジルワンは二本の大型ナイフで攻撃をしのいだ!


"ジルワンは魔法☆攻撃力倍加を使った!"


"更にナイフで、ソウルの脚を猛攻!"


 ソウルは脚を切られて、その場に転倒した!


"ジルワンはソウルに馬のりになりナイフで猛攻!"


 しかし?!何故かジルワンは突如火だるまになり、空中を舞った!


 ソウルの手を取り店のホールに立つ少女の姿があった。少女の手には炎の紋章が浮かび、片方のてのひらをジルワンに向けていた。


 ヴィグネイラーは葉巻をへし折って、火だるまでのたうち回るジルワンに近づき、剣を抜き放ちジルワンを絶命させた。


「きみのやり方はわたしは嫌いだ」


 少女がヴィグネイラーに語りかけた。


「貴様、名を聞こうか」


「あんたに名乗る名前なんかないさ」


「片腹痛いわ、我が炎と貴様の炎。どちらがよく燃えるか試してやろう」


 火の魔法少女アムリタは、ヴィグネイラーに対峙たいじして、何故か勝算がある気がしていた。


"ヴィグネイラーが奇襲の炎の息!"


 ごおおおおおおっと燃え盛る炎の先に、アムリタはまだ平気で立っていた。


 ヴィグネイラーは歯をぎりぎり噛み締めて己の失敗を許せなかった。

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DeathGaze@world online.ver 4.0 小波ここな @nanoda

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