第42話 目覚めと会議
「お待ちしておりました、レイン様。」
いつもの椅子──俺専用というわけではないのだが、実質俺専用となっている椅子に座ると、まずカミナに声をかけられた。
それに続くように、皆口々に目覚めた俺に話しかける。
この場にいるのはカミナ、ラルク、マダラ、ラース、そしてなぜかネヴィルス。
アルスは最近、亜空間倉庫が暇になったらしく街の周辺をうろついている。
ここで多くの人はマダラがここにいていいのか、警戒は大丈夫なのかと思うかもしれないがそこはご安心あれ。
マダラは分身体を持っており、意思の疎通ができる。それに隠密部隊はマダラだけではないので街の警戒は心配ない。
ちなみに元々ここの長だったやつは、エセ勇者侵攻の時からカミナにその地位を譲っている。つまりカミナは、街の衛兵隊長兼街の長というわけだ。
え?魔王の街なのになんで長が必要なのか?
そりゃだって、今回みたいに俺が動けない時や他国に行っている時だってある。
そんな時、俺の代わりになってくれるやつは必要だ。だから、あえて長の地位を設けているんだよ。決してめんどくさい時に後投げするためじゃない。…決して。そう多分、決して。
《マスター…誰に説明してるんです?》
え、そりゃあこれを見てくれてる画面の前の…(以下テンプレ)
さて、なぜこれだけの幹部が集っているのかと言うと、実は俺の回復を祝うため──ではなく、ラティルの意思である。
俺が眠っている間でもラティルは(制限はあるが)活動可能だったようで、カミナと話し合い、幹部達で街拡大、そして住民の受け入れのための会議を続けていたようだ。
そこに俺への用事で街に居残っていたネヴィルスが加わり、ミスナの配下であるエルフやドライアド達を視野にいれてみてはどうかという意見が出たようだ。
無論、提案したのはネヴィルスである。
俺からしたら、あんな頑固そうなミスナがそれを受け入れるとは思えないんだが…。
あれ、そういえばネルがいないな。
ラティル、あいつはどこに行ったんだ?
《イエス、勇者ネルは街の周囲を見回っているようです。》
なるほど、何もないといいんだけどな…。
まあいないのなら気にしても仕方がない。会議に戻ろう。
「ネヴィルス、さすがにミスナはそれを許すようには思えないが」
「ああ……まあ、それは大丈夫だろう」
ネヴィルスは手を組み、少し複雑な表情で肩をすかした。
そのまま会議は続き、ミスナのことも含め周囲の魔物の集団のうち、同意した魔物達をなるべく早く取り込むということになった。
取り込むと言うとあまり聞こえは良くないが、災厄のこともあるので、情報の共有など併せ色々準備をしなければならない。
幸いこの街、というか国はだいぶ大きくなり、農耕地帯や増加する住民のための施設なども増えている。
俺が来た初めの頃の3倍くらいの土地にはなっているのではなかろうか。
与えられるものは、衣食住、そして魔王の庇護。これに同意した魔物達は、俺の庇護下で守られる。
さて、これでこの森のどれだけの住民が増えるのだろうか。
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