魔王躍進編
第10話 エクストラユニークスキル
「ありがとう、もう1人の父よ……。」
「レイン様…」
よし、湿っぽいのは終わりだ。そうと決まればこれからのこと考えないとな。
「さてラース、俺は魔王になってしまったわけだが、まずどうすればいいのだろう。」
早速壁にぶち当たった。何をすればいいか分からない。
「…はい、レイン様。各魔王様方は土地を持つ一国の主と聞いております。ゆえにまずは様々な土地を知見し、土壌を作るのが最善かと。」
「なるほど、そうなのか。そう言われると魔王に関する知識ほとんど無かったな、ちょっとスキルで調べてみるよ。」
スキル、「無限図書館」!
あ、あれ?なんか反応無いんだけど…。
《マスター、無限図書館はもう進化したのでありませんよ!》
そうだったのか、進化してね…って。
あの、オタクどなた様ですか?直接脳内に話しかけられているような気がするんだけど。
《エクストラユニークスキル「
え?スキルって喋ったりするの?聞いたことないんだけど。あとアクセスってどういうこと?
《私は言わば高次元の存在のようなものです。今回こうしてスキルという器で私の1部が形成されたので肉体を必要としません。そちらの悪魔の方のように受肉することもできますが、このままで構わないと判断しました!》
ほう、そういうスキルもあるんだな…。
《ちなみに超お高いスキル、いわゆる“美徳系”というものです!》
えっ?!美徳系スキルって勇者とかじゃないと獲得出来ないんじゃないの?!
《そんなことはありません。美徳系にしろ大罪系にしろ魔物でも人間でも獲得の可能性は等しく与えられています。ですがマスターの場合は血に寄せられたものかと思われます!》
そ、そうだったのか…。
ん?血に寄せられたってどういうことだ?
《イエス、マスターには美徳系のスキルを持つ聖なる者の血が流れています。その美徳を持つ聖なる血に反応して美徳系のスキルに進化したと予想されます!》
へえ、そんなこともあるのか。
美徳の血って聖女の血のことだろうな、
それにしてもなんでこう、まっすぐ女の子みたいな声なんだろう。別にいいんだけどさ。
そうだ、魔王について色々知りたかったんだ。魔王について色々教えてくれ。
《イエス、魔王は現在8体確認されています。マスターを含めると9体です。現存する魔王は全て土地を持ち、国土を治めています。マスターの記憶から拝見しますとマスターの故郷は中立地区、つまり人間の国でも魔王の国でもありません。そういう場所もたくさんあります。魔王達の凡その性格と歴史についてですが………》
めっちゃ続いた。こんだけ長く説明聞いてると隣りのラースが心配だ。めっちゃ待たせてしまっているわけだし。
《その点はご安心下さい!「
なんと!それは素晴らしい!
ただでさえ有能だった図書館がこんなにもハイスペックになって帰ってくるとは。魔王化素晴らしい。
《ちなみに現在の8体の魔王のうち、真なる魔王化に成功したのは3体のみです!》
そう言えばジジイも言ってたな、真なる魔王化とかなんとか。それって普通の魔王と何が違うの?
《戦闘力のケタが違います。魔王には階級があり、それの最底辺が魔王、その次が真なる魔王です。さらに上に魔神という階級もありますが、魔王と真なる魔王、魔神では天と地の差があります。魔王の究極魔法よりも真なる魔王の初級魔法の方が強いとさえ言われるくらいです!》
ケタが違いすぎません?!いくらなんでも?!
そんなんじゃ他の魔王にすぐ潰されちゃうじゃないか俺。
ちなみに真なる魔王化はどうすればいいの?
《イエス、真なる魔王化を果たすには敵対意思のある生命の魂を摘み取る必要があります。その上で配下の進化を促せたら真なる魔王に覚醒します!》
生命の魂を摘むって!怖いってさっきから!
だが敵対する、というところにミソがありそうだな。人間と争ったりして真なる魔王になるってことも有り得るのか…。
よしわかった、色々ありがとう、えーと、あれ?
そうか、君をなんて呼べばいいんだろう。
《私に名前はありません。星界の本棚に住まう者です。マスターのお好きなようにお呼びください!》
そうか、今サラッと重要な事言ってたような気がするけど…星界の本棚ってなんだろ。まあいいか、じゃあ君の名前は…なんとなくでラティルだ!
《ラティル…私はラティルです!》
うむ、これからよろしくねラティル君。
「やはりラースの言う通り、色々な場所を旅するのが良いと思う、ので旅に出よう。」
「承知致しましたレイン様」
穏やかな風が吹く。その風はレインの黒い短髪と同じく黒いラースの長髪を揺らす。
冒険の途中で気づいたが、エクストラユニーク「
エクストラユニークスキル「
1度見た生命体への偽装が可能。だが魔力が必要。1度見たエクストラユニーク以外のスキルを上辺だけ真似られる。つまりスキルとユニークスキルのことだ。真似できる、とは上辺だけであるが獲得状態にあるということになる。このスキルは発動しようと思って使うものじゃない、いわばパッシブスキルのようなものだ。
複合スキル「虚像」
自身の存在を虚像化する。虚像化は目視可能な世界では存在が嘘になるというもの。
つまり回避し放題スキルである。間違いなく強い。
エクストラユニークスキル「
謎が多いスキルだが、思考加速や分析はお手の物。神速の演算もできる。星界の本棚という高次元の世界にアクセスしているスキルらしく、あらゆる知識を所有している。
この「
超分析はスキルでもなんでも見てしまえば分析が可能なのだが、分析してもスキルを獲得してないと使えない。だがこの2つが合わされば1度見たスキルは上辺は使用できて、そこに分析結果たる中身が含まれるということだ。つまりどういうことかって?本物そのもの、めっちゃ強いってことだ。1度スキルを見てしまえば使えるようになるなんてヤバすぎでしょ。確かにエクストラユニークはコピー出来ないけどそれでも強力だよね。
《確かに強力ですが、暴食の魔王は似たようなことができるはずです。》
え、そうなんだ。こんな強いスキルのコンボと似たようなものを最強の魔王は持ってるってわけか。さすがやばいな、最強の魔王。
その最強コンボのスキルをバンバン使って道中の魔物のスキルをコピーしまくった。さらに修行していたころの記憶を見たラティルにより穢れた山の強力な魔物達のユニークスキルもどんどん獲得していった。やっぱりちょっとズルいような気もする。
旅を続けて数ヶ月経ったある日の昼頃、広大な森を散策していると、近くから爆発音が聞こえた。
爆発であまりいい思い出が想起されない。もしかしたらまた勇者か、そう思ったら足が勝手に向かっていた。
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