第267話 暇です! 暇で御座います……(6)

『わぁあああっ』


『わぁあああっ』


『凄い!』


『凄いー!』と、ねと。余り驚愕、驚嘆を漏らすことはない。ないのだ。


 だってたぬきの御老体ことちくわのおじさんが、ラインズさんのお店、ところで、【牛ステーキ串】を、一日一本食べるのは、ここ数年の日常茶飯事のことだから。

「へぇ~、おじさん、ラインズさんのところで肉を食うんだ……」と、山田瞬の口からは、この程度の台詞しか漏れてこない。


 その他のメンバー達にしても、「おじさん九十二歳なのに歯が丈夫だよね……」と。


「僕が九十二歳になったら牛串を食べられるのだろうか?」


「いや、儂は、無理、無理だよ」と。二重焼き屋のお兄さんと、たぬきの御老体から牛ステーキ串の注文を頂いた。貰った。


 だから今焼き始めたラインズさんが、余り感動もない台詞と言葉を漏らすだけで、日常茶飯事のことだから誰も、たぬきの御老体の事を絶叫、歓喜しながら褒める者などいないのだ。と、いいたいところではあるのだが。



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