第268話 暇です! 暇で御座います……(7)

「おじさん! おじさんは本当に凄い! 凄いよね!」と、歓喜の声が、だけではい。


「僕さ、いつも、おじさんを見て思うだけれど。九十二歳で串肉をそのまま丸かじりできる人なんて。この日本中を探してみても。そんなに沢山はいないと僕は思うから。おじさんは凄い! 凄いと思う!」と。


 コーヒー屋のお兄さんだけは、この場に居る者達のように無関心……。




 そう、齢九十二の御老体が串肉を焼いた物を、そのまま丸かじりをして『ガツガツ』と、勢い良く。そして荒く食べる様子を凝視しても無関心なのだが。彼だけは更に歓喜だ。歓喜の声、台詞を高らかにあげて説明をすれば。


「そうかの? 儂ぐらいのものかの?」


 たぬきの御老体は大変に御機嫌宜しい様子で、コーヒー屋のお兄さんへと問いかけるのだ。


「うん、多分? おじさんぐらいだと思う?」と、コーヒー屋のお兄さんが言葉を漏らせば。


「おじさん! おじさんの歯って? 未だ歯がかなり残っている。残っとるんじゃろぅ?」と。


 今度は大島のおじさんが、たぬきの御老体へと尋ねる。


「そうなん? おじさん?」


 大島のおじさんの問いかけを聞き、今度は山田瞬がたぬきの御老体へと問いかけると。




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