第233話 本当なのか? 嘘なのか?(12)

「うぅん、魚の煮つけでいいよ。おさんが作ってくれる和食料理は、外に食べにいくよりも美味しい~。本当に美味しいからね~」と。


 おさん狐さまに訊ねられた山田瞬は、大変に嬉しそうに呟き、答えるのだよ。


 と、なれば?



 彼の奥さま、姫巫女さまは、歓喜──。自分自身の腕や身体をモジモジ、クネクネ、照れ恥ずかしそうな様子……。




 そう、この夫婦は、なんだかんだと言っても、未だ新婚ホヤホヤの夫婦だからね。未だこのように初々しい様子……仕草を魅せながら。


「そうか~? そうか~? 瞬は~? わらわの作る料理が一番好きか~。好きなのか~」と。


 大変に御満足しながら呟く、だけではない。


「わらわも、瞬が心から喜んでくれるから~。料理を作るのが楽しくて仕方がない。仕方がないのだよ~。瞬~」と。


 他人の目、自分達の周りを歩行するお客さま達の目も気にせずに。妖狐らしい振る舞い。


 そう、おさん狐は、己の主さまへとしな垂れ掛り甘え始める。


 と、なれば?



 おさん狐の主さまは、『ギシ、ガシ』と、抱き──。優しく抱擁……自分自身の胸と腕で、おさん狐さまを優しく包む。


 まあ、そんな二人の様子をお客さま達は凝視をすれば。


「な、何?」


「な、何だ、あれは?」


「けしからん。公衆の面前で……」となるのだが。

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