第209話 2020年三月前後?(10)
日の本西の大妖怪。妖狐や妖怪達の皇女殿下であるはずの彼女が、気落ち落胆。そう、自身の肩を落としながら。今や少なくなってきた大和の妻らしい振る舞い。数少なくなってきた大和撫子らしい、しおらしく。自身の主である山田瞬へと説明をしながら詫びる様子は『えっ?』と、思うぐらいだから。
おさん狐の夫である山田瞬自身も心中で。
(あっ? おさんに対して、僕はまた酷いことを言ってしまった。それも、いつもの通りの同じ不満の台詞を……)と。
彼も思い、後悔をするのだが。それでも、おさん狐さまが漏らす声音一つ一つが艶やか声色。甘ったるい。異性へと媚びるような声色の口調が、自分に向かられている時は、山田瞬自身も気持ちが良いし。夫婦の営みの最中も、彼自身が快楽に溺れ、極楽浄土を満喫できるのだが。
山田瞬以外の男(オス)へと。自分の妻(物)が向け──放った時は、嫉妬心しか募らない。
だから山田瞬自身も、おさん狐さまへと不満言い出したらとまらないのだ。
「それでも直してくれよ~。おさん~。僕は? おさんの、あの妖艶、官能的な口調が。僕以外の男に向けられることが、我慢ができないから」と。
おさん狐さまへと告げて、彼女を困らせる。
だから彼女は、その後気落ち落胆するだけではなく。自身の金色に輝く瞳を濡らし。流し始めるのだ。
こんな台詞を彼女の夫である山田瞬へと、泣き告げるのだ。
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