第122話 マスク (24)

 良く思案……。先程の二人の脳内夫婦喧嘩の件を思い出して欲しい?


 おさん狐さまが脳内で『エン、エン』と、泣きながら。自分のお腹にいる子は、山田瞬の子だと告げ──。信じて欲しいと嘆願をしたように。山田瞬は毎夜毎夜~。夢遊病の患者の如く~。おさん狐さまの肢体を求め、乱れさせ~。彼女の口から、淡くて甘い官能的な嬌声を漏らさせ~。聞いていたようだから~。


 おさん狐さまの夫である彼自身は、ワクチン接種を毎日しているのと一緒でね~。免疫力は向上──。できているのと一緒だからね~。


 おさん狐さまの、妖狐らしい独特の、甘くて淡い官能的な声色を聞いても、山田瞬の脳は、去年の大晦日──2019年の年の終わりと2020年の新年の年明け直ぐの時のように蕩けたりはしないのだよ~と、我等が思った時……。


 と、言うか? 二人の始めて逢った初夜と。明けた翌朝……。二人で仲良く雑煮を食べる風景を思い出せば? 山田瞬はあの時点で、おさん狐さまとの交わりを終え──。妖狐の伴侶となっているから~。おさん狐さまのオスの脳を蕩けさせ~。煩悩や羞恥心を破たんさせるような淡くて甘い声色を聞いても。彼は平然と朝の雑煮を食できたのかも知れない~?


 また二人の夫婦の営みは? おさん狐さまの申す通りだと? あの日から今日の朝まで続いているようだから。先程も我等が説明をした通りで、山田瞬の、おさん狐さまへの免疫力は更に向上──。古の妖狐の物語のように~、彼は~? 男の性と言う物が抑えきれなくなり。おさん狐を密かに、人気の無い暗い場所へと誘い──連れ込むようなことはない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る