第118話 マスク(20)

 でッ、山田夫妻に紙マスクを手渡し、お礼を告げられた。ニヒルな大島のオジサンはと言うと?


 未だ2020年の初売り──。一月頭の一桁日にちなのに~? マスク警察の如く振る舞いで。販売をしている者達へと、『マスク~! マスク~! マスクをしないといけないよ~! 大変な病気にかかるから~』と。先程迄彼は、口煩くしながら叫び──。同じ販売業者の者達に、紙マスクを手渡していた行為をやめて──。やはり『ホンワカ~』と、自身の顔を緩ませ、おさん狐さまの、女神の微笑みに魅入られているのだよ。先程迄の荒々しい表情は影を潜めてね。穏やかな表情……。


 まあ、そんな彼に、自身の妻である、おさん狐さまの機嫌が直ったと山田瞬はわかると。


「大島のおじさんは、去年の年の瀬も、みんなに危険だから、紙マスクを着用するようにと告げていたし。先程、家のおさんにも、海外の様子はどうか? と、訪ねていたけれど……。そんなに大変なことになっているのですか? 外国は……?」


 と、訊ねたのだよ。

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