第117話 マスク(19)

 すると~? あら~? 不思議~?


 山田瞬が東の空から昇る御日さまのような笑顔に変身をすれば~? 彼に続くように、妻である、おさん狐さまの、大○神のような怒り顔や、妖怪あめふらしのような悲しい顔が、交互に変わる様子がとまり──。日輪……。


 いや~? まさに神──!


 う~ん、違うな~?


 彼女は女性だから女神……。


 そう~? 妖狐ではあるおさん狐さまなのだが~?


 我等が先程少しばかり説明をした通りで。西の大妖狐である彼女は、商売繁盛~。金運をもたらす、日本の古代から伝わる狐の神さま……。西のお稲荷さまと呼んでも良い立場の女神さまになるので。本来の、おさん狐さまの笑みは~? 妖狐の妖艶な笑みではなく~。女神の微笑みになるのだよ~。


 だから女神仕様の、おさん狐さまが微笑みを浮かべれば~? 彼女の夫である山田瞬だけが、自身の顔を緩ませ、鼻の下を伸ばすだけではなく?


 山田夫妻の、脳内会話による夫婦喧嘩を怪訝しい顔をしながら凝視をしていた坪田御老と。その横で動揺……。困惑をしながら、山田夫妻の顔色を見ていた坪田御老体の娘さんの顔も山田瞬のように緩むのだよ。


 特に、齢九十二歳になる坪田御老体は、この歳になっても、異性への興味心は衰えず。未だに美人には目が無いし、弱いのだよ。


 だから、おさん狐さまの夫である山田瞬と変わらぬぐらいに顔を緩ませ、鼻の下を伸ばす。


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