第107話 マスク(9)

 まあ、そんな仲慎ましい、新婚ホヤホヤの二人を傍から凝視すれば──。


 遠目から三人の様子を見詰め、観察をしている我等……だけではないね~?


「へぇ~? そうなんだ~? だから今まで山田君の奥さんのことを。この五味の市で見たことがなかったんだね~?」と。


 三人の会話に割って入るように、妖怪タヌキの娘さん……ではなくて~。


 坪田御老体の娘さんが、おさん狐さまへと問いかける。


「ええ~。そうなのですよ~。家のひとが三十日まで、ここで仕事をして~。終わり次第~。岡山空港まで、私(わたくし)を迎えにきてくれていたのですよ~。でッ、新年の四日まで一緒に過ごして~。四日になれば~。また赴任先の海外へと帰宅をする生活を繰り返していました~」と。


 おさん狐さまは如何にも、数年前から山田瞬とは交際があるかのように、自分達夫婦の周りにいる者達へと。妖狐の魔力……。


『狐の化かし』を使用しながら説明……。説いていくのだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る