第104話 マスク(6)
だから山田瞬は驚愕──!
「大島のおじさん、またですか……?」
と、気落ちをした声色で訊ねるのだよ。
う~ん、でも?
大島のおじさんは、そんな山田瞬の様子を凝視しても。自身の頭を軽く振りながら。
「うん」と、最後に軽く頷きながら言葉を返すのでね。
山田瞬のことなど全く気にもしていない素振りで。自身が手に汗握る紙マスクを、微笑みながらマイペースで、手渡ししてくるのだよ。
だから山田瞬もいつもの如く。仕方なしに受け取るのだよ。紙マスクをね。
特にこのマスクも2020年の二月頃から国内……特に大都市を中心に不足気味に陥るのだが。
未だ2020年の年明け直ぐの頃には、普通に量販店……。
ショッピングモールやスパーマーケット……。ドラッグストアーに大小様々な薬局……。ホームセンターに100円ショップと、何処にでも普通に販売をしていた頃でもあるので。大島のおじさんは、新婚ホヤホヤの山田夫妻へと、気前良く紙マスクを手渡しくれるのだよ。
これが、月が代わり二月になれば、山田瞬も自身の口を開き。
「大島のおじさん、ありがとう~。大変に助かります~」や。
「本当に申し訳ない~。ありがとうございます~」
と、声を大にして叫びながら歓喜をあげるのだろうと思うのだが?
今日は未だ2020年の一月六日前後の日にち(とき)だから。山田瞬には紙マスクの重要性がわからないし……。
と、言うか?
世間一般の人々自体も、紙マスクの重要性を理解できる人達は、ほんの一握りの人達ぐらいだと思われる?
日本だけではなく。世界中を見渡しても、本当に一握りぐらいではなかったのだろうか?
と、筆者でも思うぐらいだからね。
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