第101話 マスク(3)

「……ん? あっ? 大島のおじさんだ~」とね。


「うん~。そのようじゃなぁ~。瞬~。朝方新年の挨拶に伺った殿方のようだなぁ~」と。


 山田瞬が漏らした言葉に続くように、おさん狐さまの妖艶で艶やかな唇も開いたのだが。


 まあ、我等も本当に、何度妖狐さまを拝んでも飽き足らない。


 う~ん、それどころか?


 我等の口から彼女を見る度に、『ハァ~』と、溜息が漏れる。


 まあ、それほど彼女は、妖艶で艶やか、本当に美しいと思いながら見惚れる。


 まあ、我等が男の性という物を発情しながら。


 おさん狐さまの妖艶で美しい容姿の虜になっていると。


 声の主である大島のおじさんは、仲慎ましく家の商いをしている二人へと詰め寄り。


「山田君~。先程は凄かったね~」


 と、また声をかけてきたのだ。


「えっ? あっ! そうですね~。僕も初めての経験で正直驚きましたよ」


 山田瞬は、先程自身の販売ブースに、大勢の人が、商品購入の為に押し寄せてきて。長蛇の列ができた時の感想を簡易的ではあるのだが、大島のおじさんへと説明をしたのだ。


 でッ、説明の言葉が終わると今度は、おさん狐さまへと視線を変えて──。


「う~ん、でも~? 僕にはおさんがいるから大丈夫でしたよ~。特に家の、おさんは、今日が初めての販売のはずなのに? 僕の予想を上回る活躍で、手伝ってくれたので、本当に助かりました~」と。


 山田瞬は、おさん狐さまを絶賛する台詞を大島のおじさんへと告げるのだよ。



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