第100話 マスク(2)

 まあ、そんな仲慎ましく商いをしている最中の二人に、「山田君~!」と。山田瞬へと声をかける声が聞こえてきたのだ。


 だから我等は、『……ん? 誰だ?』と、思いながら、声のする方へと視線を変えた。


 まあ、我等が声の主へと視線を変えるぐらいだから。


 自身の名前を呼ばれた山田瞬は……だけではないね~。


 山田瞬が使用している販売ブース内を朝から多忙に動き回っては、主さまの商いのサポートをしている、おさん狐さまも声の主へと視線を変えて──。


「瞬~。誰か呼んでいるようだ~」


 と、声をかける。


「うん、そうだね……」


 おさん狐さまの呼びかけに山田瞬は、こんな感じで言葉を返すと、声の主を瞳で捉えて、人物を確認する。


 そして人物が誰なのかを確認した彼の口からは自然とこんな台詞が漏れてくるのだよ。




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