第95話 新年早々縁起の良い? 狐と狸の化かしあい?(16)
「昨日まで動いていた牡蠣やから~。新鮮~。だから本当に美味しかろう~?」と。
彼はお客さま達へと問いかける。
「へぇ~、そうなのか~? だから美味しいのか~?」
すると直ぐに、お客さま達から言葉が返ってくる。
その言葉に対して、タヌキの大妖怪は、「ああ~そうだ~。だから、牡蠣の身がプリプリとして、歯ごたえがあって美味しい~」と、告げる。
「ふ~ん、そうなんだ~?」
「う~ん、確かに……」
まあ、ここでも、お客さま達は、坪田御老体の説明を聞き、ごく当たり前の様子と台詞で反応を示すのみ。
まあ、そんな様子のお客さま達に御老体は、自身の商品──。『日生の牡蠣佃煮』を目線の間直で見せ──。手渡しを始める。
するとここでも、二分の一方程式がうまれる。
坪田御老体から商品を受け取るお客さま達と。商品を受け取りはしないが、食い入るように見詰めるお客さま達とで別れる。
まあ、そんな様子のお客さまに。
「これだけの量の入った日生の生牡蠣のむき身は、普通でも購入できないのに。昨日まで生きていた牡蠣を佃煮にした物が。この値段で買えるとは、大変にお得だと思わんか~?」
坪田御老体は、声を大にしながらお客さま達へと力強く告げる。
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