第86話 新年早々縁起の良い? 狐と狸の化かしあい?(8)
また二人の販売ブースのお裾分けを頂いているのは。今のように、焼き串を焼く『ぶち』の店主ばかりでない。
先程から二人の売り場の通路を挟んだ横の売り場で、長蛇の列を見て呆然としていた坪田御老体なのだが。少しばかり時間(とき)が経てば我に返る。
そして我に返れば御老体は、百戦錬磨の強者へと変化──。
他所の売り場で油を売る、娘さんへと。
「おぉ~い。戻ってこい~」
と、声を大にして叫び、呼ぶのだよ。
自分達の売り場に戻るようにとね。
だから声をかけられた娘さんは苦笑い。
「爺さんが戻れと呼んでいるから戻るね」と。
仲良く雑談をしていた花屋の女店主に告げて慌てて、自身の売り場へと戻る。
でッ、自身の娘が売り場に戻る様子を横目で見ながら、百戦錬磨の強者は、戦闘態勢──。
若い二人には負けぬといった鬼気迫る勢いで──。
おさん狐さまから、優しい厄除けの念のこもった『新年早々縁起の良い商品』を受け取ったお客さま達に対して。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます