第85話 新年早々縁起の良い? 狐と狸の化かしあい?(7)

 それも通路を挟んだ横で販売をしている大妖怪の……ではなく。


 坪田御老体が呆気にとられ呆然とするほどの長蛇の列なのだよ。


 またそれほどの長蛇の列が出来れば、人は人を見て集まる習性がある。


 五味の市へと殻付き牡蠣を購入するお客さまや購入後のお客さま達は、長蛇の列を見て『何事が起きたのだ?』と、思いながら。また長蛇の列へと並び始める。


 山田瞬とおさん狐さまが夫婦仲良く並ぶ、売り場の方を『チラチラ』と、不思議そうに見ながらだよ。


 また、こうなれば? 山田瞬とおさん狐さまが夫婦仲良く並ぶ売り場以外の店頭の販売ブースは仕事にはならい。


 自分達の売り場にお客さまが誰も近寄らないのだから。


 と、言いたいところだが?


 山田瞬とおさん狐さまの売り場のお裾分けを頂いている販売ブースもある。


 人は人が沢山いる場所に集まる習性もあるが。長蛇の列に長く並ぶのをヨシと思わない者達もいる。


 そういった人達は、山田瞬とおさん狐さまの売り場の横で、肉の焼ける煙と美味しそうな香りを換気扇で撒き散らしながら『焼き串』を焼いているブースへと流れ──。


「店主~。焼き串を一本くれ~」と注文──。


 すると焼き串を焼く店の店主から。


「毎度~」と、声が返ってくる様子が、多々我らの目に映り始める。

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