第83話 新年早々縁起の良い? 狐と狸の化かしあい?(5)

 う~ん、これがまた圧巻──!


 山田瞬が食品トングを使用して、お客さま達へと試食を手渡す時の素早さは、何とも言い難い感じなのだ。


 だって山田瞬に、試食を勧められた女性達は、最初の頃は、「いいや~。いいです~」と、断りを入れていたのだが。


 彼女達がふと気がつくと──。両手にお菓子やドライフルーツなどの試食が盛りだくさんになっている。


 と、なれば?


 女性のお客さまは歓喜──。


 その後は、試食を自身の艶やかな唇を開き、挿入──!


 そしてまた歓喜の声をあげるのだよ。


「う~ん、この黒いお菓子美味しいね~」


「う~ん、本当だね~」


「私~。購入しようか~?」


「あっ、それなら私も~」と。


 山田瞬に試食を勧められた女性達は、いつの間にか、こんな様子に陥って。自身の持つバックから財布を出し開けて──。購入をしていくのだ。


 そんな自身の主の様子をおさん狐さまは、呆然としながら凝視──。


 またそんな呆然としている、おさん狐さまに、夫である山田瞬は一喝──!

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