第78話 2020年の初売り(15)
だから彼女は、小さな悪戯っ子を温かい目で見詰めるような眼差しで。
「(うふ~)明けましておめでとうございます~。主人共々宜しくお願いします~」と。
自分に魅入り沈黙を続けている坪田御老体へも新年の挨拶をするのだよ。
でッ、また、おさん狐さまの言葉に続くように、勝利者の高らかな声も続く。こんな感じでね。
「おじさん~。何を~? いつまでも~。ボ~ッとしているの~? 早く店出ししないと~。開店時間にもなるし~。お客さんが次から次へと来店してきて~。大変なことになるよ~。だから~。早く~。早く~。店出ししないと~」
まあ、こんな感じで、山田瞬の坪田御老体を急かす台詞も聞こえてくるのだ。
となれば?
流石に御老体も我に返るので。
「明けましておめでとう~。今年もよろしくなぁ~。おさんさん~」と。
最後に坪田御老体の新年の挨拶が、おさん狐さまへと告げられる。
でッ、その後二家族は、和気藹々とした会話を中断──。開店に向けて慌ただしく作業を続け、初売りを始める。
「さぁあああ~。いらっしゃい~!」
と、五味の市の『ちくわのおじさん』こと、坪田御老体の高らかな掛け声とともにね。
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