第75話 2020年の初売り(12)

 だから山田瞬は、相変わらずおさん狐さまに、魅入り呆然としている坪田御老体の様子を『して、やったり』と、思いながら凝視──。


 彼は御老体と長年かけて言い争われてきたことへの勝利者だから、『ククク~』と苦笑までしながら御老体を見続ける。


「……ん? 山田君! もしかして? 新年早々結婚をしたの~?」


 まあ、坪田御老体との言い争いの勝利者となり。上機嫌でいる山田瞬に、女性の呼びかける声が聞こえてきたのだ。


 だから山田瞬は……だけではなく。我等や山田瞬の本当の新妻になったばかりの、おさん狐さまは、声の主へと注目をするのだ。


 するとそこには?


 坪田御老体の娘さんの姿がある。


 だから山田瞬は、坪田御老体の娘さんへと。


「は、はい。お姉さん~。新年早々ですが、僕は彼女に妻になって欲しいと告白をして、了承を得ました~。だから彼女は僕の妻なのですよ~」


 まあ、こんな様子で、彼は本当に嬉しそうに、坪田御老体の娘さんへと説明をするのだ。


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