第74話 2020年の初売り(11)
山田瞬──。彼が一番気にしていることを坪田御老体は、全く気にもしない素振りで、次から次へと告げていたのだ。
と、いうよりも? 若い彼の気持ちが痛い程御老体には、わかっていたのかも知れない?
だって? 坪田御老体は齢九十二歳の物の怪だから。同じ異性である山田瞬の気持ちは痛いほどわかる。
う~ん、でも~?
坪田御は、老体若い山田瞬がムキになり言い訳……。口答えをするのが大変に面白いので。御老体が暇を持て余すと、直ぐに山田瞬を揶揄いながら、ストレス解消──。面白がっていたのだよ。
う~ん、でも? 今迄御老体が山田瞬へと告げていた警告──。
そして諫めの言葉……。
「女性ならば~。誰でもいいではないか~。山田~。だから早く彼女を作って、結婚をしろ~」
と、彼を急かしていた台詞……。
それを聞き、「誰でもと言うわけにはいかないよ~。おじさん~。僕は他人が振り返るような美人じゃないと結婚をするのは嫌だから~」と、売り言葉に買い言葉を繰り返してきた二人なのだが。
とうとう二人の好い争いに終止符が打たれる時がきたようだ。
だって~? 山田瞬は、坪田御老体が沈黙しながら魅入るような、美しい女性を、新年早々……。
というよりも。先程告白をして、妻として連れ──紹介をしたのだから、山田瞬の勝利で間違えはない。
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