　おさん狐さまを自分の欲望心と邪念で、黄泉の国から呼び出した山田瞬のことを。彼女は大変に気に入っているから。彼の気持ちが手に取るようにわかるのだよ。

　そう～？　山田瞬がおさん狐さまにやきもち……。

　彼女の過去に交流があった男達に対して、憎悪と嫉妬心を募らせていることが。おさん狐さまは大変に嬉しくて仕方がないから上機嫌──。助手席から山田瞬へとしな垂れかかり。甘え声色を使用しながら。

「瞬よ～。庄原にある葦嶽山（あしたけやま）を知っているか～？」

　と、訊ねるのだよ。

　すると山田瞬は直ぐにおさん狐さまの問いかけに反応──。

「ん？　葦嶽山（あしたけやま）？」

　彼は、少々困惑をした表情で言葉を返す。

　でッ、返し終えれば、今度は山田瞬がおさん狐さまへと問いかける。

「おさん～？　葦嶽山（あしたけやま）って日本ピラミッドだと呼ばれている山だよね？　その葦嶽山（あしたけやま）がどうかしたの～？」

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