第57話 2020年の初仕事前の車内の会話……(6)
だってまさか? おさん狐さまは、山田瞬の祖父と祖母の生まれ故郷が、自身が昔住んでいたこともある広島県は三次の地域だったとは思いもしなかったので。山田瞬の生い立ちを聞いて関心……。
まあ、そんな様子の彼女に山田瞬は自身の口を開く。
「うん! そうなんだよ~。おさん~」とね。
う~ん、でも?
彼の言葉は未だこれで終わらない。
また自身の口を開いて。
「おさんは、三次の方に住んでいた時は? 独りで暮らをしていたの?」
と、訊ねるのだ。
そ、そう~。そうなのだ~?
彼が今迄おさん狐さまに訊ねたくても、訊ねることができずにいた言葉……。
それを彼女に山田瞬は、違和感を与えないようにしながらさりげなく問うのだよ。
「ん? わらわか~?」
まあ、山田瞬の問いかけに対して、おさん狐さまは直ぐに、こんな言葉を返し。山田瞬の方も、「うん」と、ごく当たり前な台詞を返す。
だからおさん狐さまは、山田瞬の思惑通りで、何も思案──考慮もしない状態……。嫌悪感も募らせないままの状態で……。
と、いうことはないよね~?
彼女は悠久の時を過ごしてきた大妖怪さまなのだから。
それに広島の昔話にも書いてある通りで、人を騙し。異性を誑かし遊び、歓喜していた頃もあるから。
山田瞬の浅はかな計略など直ぐにお見通しなのだよ。
だから彼女は、昔話に登場をしていた頃のようにクスッと、妖艶に微笑……。
『ククク~』と鼻で笑い。苦笑をしながら山田瞬のことを嘲笑う……ではないね?
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