第56話 2020年の初仕事前の車内の会話……(5)

 だって、西国の大妖怪であるおさん狐さまは、山田瞬が想像つかないほどの悠久の時を生きてきた女性だと思う?


 だから彼女には、多数の異性との交流があったと思われるから?


 山田瞬は、おさん狐さまと交流のあった男性(ひと)達に嫉妬……。


 だから彼女の、遠い昔の過去の話しを聞き──。


 その最中に、彼女と仲の良かった異性の名前が出て──。彼は聞かされるのが嫌だから訊ねないようにしていたのだが。


 やはり彼は? おさん狐さまの過去が、多少なりとも知りたくはなったのだ。


 彼女自身が日の本の大妖狐の一人だとしても、彼自身が大変に魅入り、気に入った女性だから。


 彼は勇気を振り絞り──平常心を保ちながら、おさん狐さまへと訊ねたのだ。


 でッ、そんな様子の山田瞬におさん狐さまは。


「そ、そうか~? そうだったのか~? 瞬の母さまの里は、三次だったのか~? それは知らなかった~?」


 と、彼女は少々関心をした表情と声色で言葉を返すのだよ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る