第55話 2020年の初仕事前の車内の会話……(4)
おさん狐さまは、自分自身が以前暮らしていたことがある地域を当てた山田瞬に対して、感心をした表情と声色で言葉を返し、訊ねる。
「ん? あああ~。おさんが僕の許に現れてから、毎日早朝に作ってくれていた雑煮の中に、スルメを刻んだ物が入っていたので~。広島の三次に住んでいたことがあるのかなぁ~? と、僕はふと思ったのだよ~」と。
山田瞬は、おさん狐さまの問いかけにたいして、こんな台詞を返す。
でッ、返し終えるとまた彼は直ぐに口を開いて。
「僕の母方の方の祖母と祖父が三次の出身でね~。幼い頃に祖母が作ってくれた雑煮の中に、スルメが入っていたのが僕は不思議で仕方がないから。『何でお婆ちゃん、雑煮の中に、イカのスルメが入っているの?』と、訊ねたことがあるのだよ……。でッ、その時に祖母から、『三次では、新年の雑煮の中に、イカのスルメをいれるんだよ~』と、教えてもらったのだよ」と。
山田瞬はおさん狐さまへと説明をするのだよ。
……ッて? 新年が明けて、二人が共に暮らし始めて数日経つのに。今更の如く山田瞬はおさん狐さまへと、こんなことを訊ねるから、皆は不思議で仕方がないとは思う?
う~ん、実はね? 山田瞬も何度も訊ねようと思ったみたいなのだが?
彼も男だ──!
自身の邪な欲望心から、昔話の絵本に邪念を注ぎ込んで、黄泉の世界から召喚までした美しい妖狐──。
自分自身が大変に魅入り、気に入った妖狐の過去は余り知りたくはない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます