第52話 2020年の初仕事前の車内の会話……(1)

〈ブォオオオ~ン!〉


 山田瞬は、前を注意深く見て確認──。道幅の狭い漁師町の中を。彼は安全運転を心がけながら運転席で、愛車を走らせている最中なのだよ。


 今日から彼の生活の糧である、お菓子や乾物、ドライフルーツなどの販売の商い……。


 それも? 2020年の初売りを、毎年恒例でお世話になっている岡山県備前市日生町の、漁業協同組合が運営をしている五味の市へと、愛車を走らせている最中なのだよ。


 う~ん、でも、彼は? ふとあることが気になり。自身の口を開き独り言……ではないね?


 彼は2019年の大晦日の夜から除夜の鐘──。2019年が終わり、2020年の年が明けた深夜にかけて不思議な出来事……。


 彼の持つ古い絵本の中から、彼の男としての性と要求を叶えてやろうと。あやかしの者達がすむ世界から、日本の西の大妖怪でもあるおさん狐さまが、彼の許へと現れて、初夢を正夢へと変えるのだよ。

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