第43話 2020年……。新年の朝……。(1)

〈ズルズル~〉


 ……ん? あれ? 山田瞬の口から、何かを飲み干そうとする音が聞こえてきたようだね~?


 と、我らは思えば。皆で音の鳴る方へと視線を変えた。


 すると? 我らの視線の先には、おさん狐さまの容姿が映る。


 と、いっても? おさん狐さまの容姿は、先程のような物々しい大妖狐の御姿では無い……。


 そう、人の御姿だよ。


 それも? 山田瞬の部屋に最初に居た頃の彼女の容姿である、十二単の美しい御姿……。


 和風姫さま仕様では無く。ジャージ姿へとチェンジしているのだよ。


 だから我らは彼女の容姿を見て驚愕……。


 と、言いたいところだが?


 彼女の恐る恐ると、山田瞬が汁椀を持ち──。何かをすすり飲み干そうとする様子を凝視する可愛い仕草に魅入ってしまうのだよ~。


 と、我ら一同が思えば。


「うん、うまい~!」と。


 山田瞬の口から声が漏れる。





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