第42話 2020年の初夢が正夢に? (11)

「えっ?」


 おさん狐さまの気落ちをした声色の嘆願を聞いた山田瞬の口からは、驚嘆が漏れてくるのだよ。


 う~ん、流石に? 彼女がいくら西国の大妖狐おさん狐さまだとしても女性……。


 先程の、おさん狐さまではないが?


 男である山田瞬は、異性の悲痛な表情……。


 そして悲しく、気落ちをした声色での台詞を聞かされれば。彼は心打たれて胸が熱くなるのだよ。


 でッ、その後もラブコメ、恋愛物語のお約束通りだよ。


 自身の首に巻かれたモフモフ尻尾に対して抗う行為をやめて──。


 山田瞬は、自身の胸を『ドン~!』と、叩く──。


 でッ、その後は。これも、ラブコメ、恋愛物語のお約束通りの台詞を山田瞬は、おさん狐さまへと、笑みを浮かべながら優しく囁くのだ。


「僕にお任せください~。おさん狐さま~。僕も男だから。自分が貴女に対しておこなった行為に対して、生涯責任をとり。貴女のことを守り養います~。だからおさん狐さまは、これ以上悲しい顔をしないで~。僕に笑みを浮かべながら~。今空へと昇りつつある、2020年の初日の出のように暖かく微笑みながら、僕を優しく照らし続けてください~」とね。


 すると? 彼の喉元を巻き絞める。おさん狐さまのモフモフ尻尾が。力強い縄から、モフモフ襟巻へと代わり。彼の身体を優しく温めだとさ……。


 めでたし、めでたし……。



 ◇◇◇◇◇


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る