第36話 2020年の初夢が正夢に? (5)

 これも、ラブコメや恋愛物語のお約束の通りでね。


 だから、これもお約束……。


 この物語のヒロインとして山田瞬の男の性──。異性を求める邪な想いを叶える為に、古びた昔話の絵本から邪念で呼び出された高価な枕さまは、まずは「クス」と妖艶に微笑みかける。


 そして高価な枕さまは微笑を終えると。


「どうじゃ~? わらわの膝枕とお尻の柔らかさの感触は~? この世の物とも思えないほど柔らかいであろう~?」と。


 山田瞬へと訊ねる。


 う~ん、でも? 彼は未だ高価な枕さまへと魅入り呆然……。沈黙をしている状態だから。


「えっ?」と、一言漏らすことくらいしができないでいるのだ。


 う~ん、でも?


 そんな言葉……。台詞らしい台詞も告げることすらできないほど、彼女に魅入っている山田瞬へと、高価な枕は……。大変に高価な枕らしい台詞を告げるのだよ。


「瞬よ~。お主の邪な想いを叶える為に、わらわは、黄泉の国からきたのだから~。お主は生涯をかけて、我を愛おしみながら尽くし、養うのだぞ~。わかったな~。瞬よ~?」と。


 高価な枕さまは、その美しく妖艶な容姿に違わぬ要求を山田瞬へと告げるのだよ。

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