第26話 夢幻? (1)

〈ゴ~ン! ゴ~ン! ゴ~ン!〉


 ……ん? あれ? 鐘の音が聞こえてくるね~?


 と、いうことは?


 これは? 除夜の鐘の音だと言うことになるから。


 先程迄は、2019年の大晦日だったのだから。


 今は年が明けて2020年の零時だということになるよね?


 と、いうことで。我らは近くにいる者達へと『ハッピーニューイヤー』と、声をかけてまわるのだよ。


 2020年も良い年で始まり、終われるようにと。験を担ぐ為に、皆へと声をかけて回ったのだ。


「うぅ、ううう~。う、腕がしびれて、い、痛い……」


 まあ、我らが新年──。2020年を皆で祝っていると。いきなり男性のうめき声が聞こえてきたのだ。


 だから我らは、皆で祝いの言葉を交わし合う行為をやめて、声の主へと注目──!


 するとそこには? 山田瞬のコタツで横になる姿が目に映る。


 ……ではなくて? 山田瞬がいるにはいるのだが?


 山田瞬……。彼が今? 寝言なのか? 起きている状態で言葉を漏らしたのか迄は?


 我らにも、良くはわからないのだが?


 彼が『腕が痺れて痛い……』と、不満を漏らした通りで。彼の腕を枕代わりにして、彼女のように、眠りに入っている女性の姿が、我らの目に映ったのだ。


 だから我らは正直、驚愕をしたのだよ。


 だって~、数時間前迄は、山田瞬自身も愚痴を漏らしていた通りで。彼が住むこの一LDKのアパートには、女性の姿など、無かった筈なのだよ。


 だから我らは、皆口を揃えて、『嘘~!』と、声を大にして叫ぶのだ。


 余りの出来事……。


 と、いうか? 我らが彼から目を離したすきに。山田瞬の許へと、急に親しい女性の来訪が逢ったのかも知れないね?


 だって山田瞬の二の腕を枕代わりにして、寄り添うように寝ている女性なのだから。彼とはかなり親密で親しい間柄だと思われる。


 ……でないと? 女性は異性に対して、あんなにも寄り添い。自身の気を許しながら睡眠に入ることはできない筈だと思わるのだが。


 う~ん、でも? 先程の『ど○兵衛』のコマーシャル……。


 その中に登場をする妖狐の女性を見て──。山田瞬は、自身の口から『羨ましい~』と、言葉を漏らした筈なのだ。


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