第19話 西暦2019年の終わり……。 (17)

 だって彼は相変わらず、大島のオジサンへと苦笑をしているからね~。


 2020年──! 雪が溶けて温かくなる春先にでもなれば、世界中が恐怖のどん底に陥る。『新型コロナウイルス』が猛威を振るいつつあったのにね。


 でも? 先程も我らが告げた通りで、2019年のクリスマス開けの時点で、世界中の政治家達や科学者、医療に携わる者達……。一般の民や多々いる種の動物達も含めて……。新型コロナウイルスが世界中に広がり猛威を振ることを予測できた人達はどれぐらいいたのだろうか?


 多分我らは? ほんの一握りの人達ぐらいだと思っている。


 特に平和ボケのこの日本には、政治家も含めて本当に少数だと思っている。


 年が明け2020年からの数か月……。春先までの国や各都道府県の知事や市町長の、新型コロナウイルスへの対処を傍から見ていれば下策……。


 というか? ウィルスのことを知らなかったのでは? と、思っているぐらいだ。


 だから普通の人である山田瞬が、2020年の未来を予測などできるはずもなく。相変わらず彼は、大島のオジサンへと苦笑を続ける。


 う~ん、でも? 山田瞬は未だ若い。


 と、いうことは、世間に対して未だ拗ねてはいない状態だから。


 彼は取り敢えず、渋々ではあるのだが、大島のオジサンから強引に渡された紙マスクを自身の顔へと装着するのだ。


 でッ、不慣れな紙マスクで自分自身の顔を覆った状態で。自身の生活の糧である、お菓子や珍味、ドライフルーツ等の販売業の商いを始めだすのだ。


「さぁ~、いらっしゃい~。ませ~。お客さま~」と。


 いつものように彼は、高らかな声色で、自身の目の前を通りすがる人達の波へと声をかけ叫びだすのだ。


 ◇◇◇◇◇



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