第4話 寝落ち配信は意外と好評 そろそろゲーム配信も初めてみる


 寝落ち配信枠開始から一週間。


 

 ニートの一週間って結構早いなぁと感じてたけど、Vtuberを始めてからはもっと早いなぁと感じた。もうそろそろ一ヶ月経つんだよねぇ。早いもんですよ。寝落ち枠は意外にも好評で、実は視聴者と登録者数が更に増えました。視聴者数が安定して30人!登録者数は40人!流石に登録者全員が見てくれることはなくなってきたけど、それでも増えたのは嬉しい。というか20人も増えた!あと10人で50人!すごいなぁ、寝落ち効果。私はもう満足ですよ。50人いったら引退でもいいかもしれない。長かったぜ、Vtuber生活。



 「いや終わらせないよ?その程度で満足しちゃいかんでしょ」


 「いかんのか?」


 「いかんでしょ。キミはもうちょっと欲があってもいいと思うぞ」


 「見てくれるだけでも十分満たされた」


 「まぁ、うん、そういう性格だったよね。わかってた。わかってたけど……とりあえず、もう少しVtuber続けてみないかい?」


 「おっさんがそう言うならいいよ」


 「いいんかい」


 「おっさんが配信に必要な機材とかイラストとか用意してくれたからね。まだやれー!って言うならやるよ。でも俺が辞めたくなったら辞めるからね」


 「まぁそれは仕方ない。わかった。とりあえず続けてくれるなら嬉しいわ」


 「それはよかった」


 「……しかしなぁ。まさか男しか聞いてないとは思わなかった」


 「ん~……まぁなんとなーくそんな気はあった」


 「マジか」


 「ほら、昔ギルドに入ってきた新人でめっちゃ懐いてきた人何人かいたじゃん?」


 「あー……思い出した」


 「ね?わかるでしょ?」


 「……やめようか。この話」


 「うい」




 まぁ何があったかというと、昔新人が入ってきた時に私とおっさんが指導者として教育してたんだけど、おっさんには女性が集まり、私には男性だけが集まった。別にマスターがそういう風に決めたわけではない。私もおっさんもそういう風に集まれと言ったわけでもない。ただ最初の指導会でボイスチャットを使って自己紹介をした時から何故か男性陣が懐いてきたのだ。意味がわからん。ちなみにおっさんは新人の女性何人かとリアルであったらしい。そして気づいたらホテルに行ってたとか。ようやるわ。



 ちなみに私もリアルで会いませんか?と誘われたことはある。羨ましいでしょ?ふふ。でも誘ってきた相手が男性だっていうのはなーいしょ。





 

 配信開始。


 

 「こんばんは。今日も配信を始めていきます。よければお付き合いくださいね」


 

 :こんばんはー。

 :雹くん!待ってたで!

 :こんばんはですー。今日も始まった!

 :お疲れさまです。さて、作業しながら聞きますか。(作業できない)

 :こんばんはー。私事ですが、今日誕生日でしたw

 :こんですー。そして誕生日の人、おめでとう!



 「皆さんこんばんは。お仕事だった人もお疲れさまです。お誕生日の方もいるんですねぇ。おめでとうございます。素敵な一日を過ごせましたか?」


 

 :おめでとう!

 :おめ!良い一年になるといいな!

 :おめでとうー!

 :ありがとうございます!仕事でしたけど、雹夜さんのお祝いの言葉で最後に幸せになれました!

 :おめでとうー。いいなぁ、俺も誕生日迎えたら雹さんに祝ってほしい。


 

 「あはは、いいですよ。僕でよければお祝いしますよ」


 

 :マジか。誕生日になったらお願いします!

 :実は俺も今日誕生日だったわ忘れてたわ。

 :忘れてたのなら仕方ない。雹くんの代わりに俺が言ってやろう。おめでとう(ハート)

 :俺もお祝いしてやるぞ。おめでとう(ハート)

 :優しい世界。

 :こういうのって大体スパチャで読んでくれー!ってなるよな。少人数だからこそ出来るわけだ。

 :スパチャ限定でも俺はやるぞ!


 

 「スパチャですか。まだまだ遠い話ですね。お祝いのお言葉ならいつでも言いますので、気軽に言ってくださいね。それじゃ、配信を始めていきます。最初の一時間は雑談から」



 

 寝落ち配信を始めた時、最初は雑談配信と寝落ち配信を交互に別けてやっていた。雑談配信をした次の日は寝落ち配信を。寝落ち配信をした次の日は雑談配信を、という感じに。でもよくよく考えたら雑談配信の日に寝落ち配信聞きたかった人も居るのでは?と思い、配信時間が元々一時間だったのを二時間に増やし、最初の一時間は雑談配信を。残りの一時間は寝落ち配信をするという風に変えた。配信時間増やすのは考えてたし、丁度良かったと思う。ただゲームする時間が減るのはちょっと辛い。けどまぁ、いいか!



 

 「……お、そろそろ一時間経ちますね。それでは、寝落ち配信を始めていきます」


 

 

 :待ってました。よし寝るぞ。

 :もう寝る時間かぁ。早いなぁ。

 :最近雹くんに寝る時間管理されてる気がする。でも、それが、良い……っ!!

 :リスナーの睡眠管理が出来るVtuberが居ると聞いて。

 :あえて足掻いて最後まで起きます(敗北回数3回目)

 :もう諦めて寝てもええんやで(悪魔の囁き)

 :即落ちの未来が見える見える。

 



 視聴者さんが寝る体制に入る。なんかこう見るとお母さんみたいだな。

 

 


 :初見です。寝落ち配信と聞いて。

 :初見ですー。イラストの男の子可愛いですね。

 :イラストのショタめっちゃ可愛いなぁ。

 :初見です。




 最近ではこういう初見さんのコメントも増えてきた。寝落ち配信の効果ほんとにすごい。まぁ、問題はここからなんだけども。



 「初見さんいらっしゃいませ。よければ、ゆっくりしていってね」


 

 :声草

 :は?なにこの声は……

 :ショタのイラストに惹かれて見に来たらめっちゃ低音でびっくりした。

 :ギャップやばすぎ。

 :えー、なんかイメージと違う。



 まぁ、そうだよね。皆イラストに惹かれるよね。可愛いもんね。ごめんね、ショタ声じゃなくて。




 :初見がいるぞ。囲め囲め。

 :初見さんいらっしゃい。雹くんの声はいいぞぉ。

 :いらっしゃい。ギャップにビビるだろうけど、すぐ慣れますよ。

 :まぁ、当然の反応ですな。

 :俺達も最初こうだったよな。懐かしい。

 :今じゃ雹くんの声なしじゃ生きていけないの……

 :これが女性のコメントだったらなぁ……悲しいなぁ……

 :脳内変換余裕でした。

 :お前が変換してどうする。



 「あはは、ごめんなさいね。でもよかったら、聞いてくれると嬉しいです。それでは、始めていきます。今日の童話は……」





 


 次の日。配信開始。



 

 「こんばんは。今日も宜しくおねがいしますね」


 

 :こんばんはー。昨日の寝落ちも最高でした!

 :こんばんは。マジでぐっすり寝れる。

 :こんです。今日は頑張ります(敗北4日目)

 :やっぱり寝てるじゃないか。こんばんはー。

 :どっかの忍者と即落ち回数でいい勝負出来そう()

 :こんばんはー。



 

 :こんばんは。昨日に続けてまた来ました。

 :こんばんはです。自分も昨日初めて聞いたけどよかったです。

 :寝落ち配信であそこまで寝れるとは思わなかった。登録しました!

 :まだ声とイラストに違和感あるけど、雹夜さんの声すごく好きになりました。

 :初見です、こんばんはー。



 おぉー、昨日来てくれた初見さんが今日も来てくれてる!ふっふっふー、なかなかVtuber配信も様になってきたかな?これは今週中に50人行きそうだ。お祝いのお菓子用意しとこー!







 

 祝!登録者数50人突破記念!ゲーム配信始めます!




 「皆さんこんばんは。本日はタイトル通り記念配信です」



 :よっ!待ってました!

 :やっと50人だー!

 :なんだろう。めちゃくちゃ数は少ないのにすごい嬉しい。

 :Vtuberとしては正直やばいけど、でも雹くんが気にしないなら俺も気にしない!おめでとう!

 :まだ50人なのか(困惑)

 


 「配信を初めて一ヶ月が経ち、無事登録者数も50人いきました。これも皆さんのおかげです。本当に、ありがとうございます」


 

 :そういえばもう一ヶ月か。

 :一ヶ月で50人……気にしない気にしない!

 :大丈夫だぞ!俺達が居るから!

 :Vtuberでここまで伸びないのも珍しいよね。

 :いや、結構居るぞ?でも雹夜さんに関しては本当に珍しいが。

 :正直このまま少人数でもいいけど、スパチャをしたいという気持ちもあって複雑だわ。

 :まぁ人気が出たら出たでいいじゃない。俺は応援し続けるぞ。

 :生活が苦しかったらボイス販売してくれ!買うぞ!!

 :俺も買う!できれば罵倒系でお願いします!

 :気が早いぞ。でも販売したら俺も買います。



 「ありがとうございます。お金関連はまだ大丈夫なのでこのままやっていきます。さて、それじゃ配信開始していきます。今日は初のゲーム実況、やってみます」



 :何のゲームやるんだろうか?

 :アドベンチャーは駄目だぞ!皆寝てしまう!

 :読む系のはヤバそうですね……。

 :ホラゲー期待!

 :酒とつまみ用意してきた!準備おっけい!




 「では始めますね。今回からやるゲームは……」





 ゲーム実況。配信ジャンルでも一番人気で、手軽に出来るもの。シンプルだし、話を考えなくていいのも大きい。物によってはなりきったり考察とかいろいろ必要になってくるけど、まぁ大丈夫でしょ。ちなみに初実況ゲームは有名なオープンワールドゲーム、オブリビオォン!だ。このゲーム、めちゃくちゃやれることが多いらしい。あとめっちゃ自由。自由っていいよね。ロマンを感じる。ちなみに初見なのでたまに視聴者さん達に助けてもらったりしてる。まぁ、助けてもらうと言ってもサブクエストでバグが起きた時限定だけど。基本1人でサクサクプレイしてるので詰まることはない。しかしこのゲーム、面白いなぁ。




 

 ゲーム配信開始。



 「皆さんこんばんは。今日はゲーム配信の日です。よければお付き合いくださいね」



 :始まった。

 :今日も暗殺ギルドのクエストですよね?

 :そろそろ暗殺ギルドも終わりかな。

 :あの話が来るのか……

 :あー、そういえばアレか。雹さん大丈夫かな?

 :ネタバレしないようにな!そういう雰囲気を出すのも駄目だぞ!

 :こんばんは。自分も最近このゲーム始めました。



 「よし、じゃあ前回の続きから始めますねー。えっと、確かルシエンの兄貴に会いに行くんだったかな」


 

 メインクエストとかサブクエストを気分で進めてたけど、最近は暗殺ギルドという組織クエストにハマっている。特に上司のルシエン兄貴。個人的にはめちゃくちゃ好きだ。なんかこう、惹かれるものがあるんだよなぁ。いいなぁルシエン兄貴。褒めてくれるのも好き。今日も兄貴の為に頑張るぞー!



 

 

 「……うーん?なんか嫌な予感するなぁ、これ」


 

 :そろそろやばい。

 :あぁ、遂にこのときが……

 :やばい、心臓バクバクしてきた。

 :え、なになに?何が起きるの?

 :コメントの流れが怖すぎる……。

 :こんばんは。最近見てます。このゲーム面白いですよね@サキ

 :ワクワクしてきた。

 :そろそろセーブしたほうがいいかもしれないですね。

 :おい待て、サキさんいないか?


 

 :おいやべぇぞ。サキさん居るぞ!

 :え、マジ?え、うそだろ?

 :やばいって!雹さん気づいて!!

 :本物か?誰か確認した??

 :確認した。本物だったわ。やばいぞこれ。

 :雹さーん!コメント!コメント見て!!やばいって!


 

 「うん?」



 ゲーム配信四日目。


 コメント欄に人気Vtuberサキさん現れる。

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