第2話 追放
私が目を開けると、見慣れない風景が広がっていた。見渡すと、お世辞にもきれいとは言えない部屋のようだ。ところどころ蜘蛛の巣が張り、床板や壁が傷み、変色している。肩と腰が痛い。どうやらとても固いベッドの上で寝かされていたみたいだ。肩と腰が痛くなるはずだ。
私はてっきり死んだと思っていたが、人間しぶとく生きるもんだと考えていると外から話し声が聞こえてきた。私を助けてくれた医師だろう。こんな部屋に患者を入れるとは、どうかしていると思うが、一応礼を言わねばと部屋に来るのを待ち構える。
ドンッ!
ドアが乱暴に開けられる。患者の部屋なのにひどい先生だな。
「****&*:%な!!!***##はとぅ!!!」
「***にか!&*:*!やゃっぅ**!」
男女二人が入ってきた。この人たちはいったい誰なんだ。白衣は来ていないようだし、何やら怒っている。しかも意味が分からない言語を喋っている。私は英語は得意だが、二人の話す言語は英語とは違う気がする。、せめてわかる言語を話してほしい。そう伝えるために口を開きかけた、が。
「っっ!!!痛いっ!」
突然頭に激痛が走った。痛くてたまらない!頭の中の脳や骨をかき混ぜられてるみたいだっ!!
頭を抱え込み、激痛に耐えていると突然男が私の胸倉をつかみ、目の前でどら理始めた。
「お前は何で生きてるんだ!!!」
ha?
「そうよっ!あなたさえ死んでいればあの子が王子の婚約者になれたのよ!」
ha??????
「何で!この国には殺人をしてはならないという法があるんだ!!そんなものがなければ、私自ら手を下してやるのに!」
haaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?!?
私は何故初めて会った人物に人物いきなり殺人予告を告げられなければならないのだろう?しかも、この男すごく汗臭い。顔は脂汗テカっているし、丸々と肥えた体を包んでいる服はどう見ても現代の服装ではない。中世ヨーロッパ風の緑色の通気性の悪いゴテゴテとした服を着ている。汗をかくぐらいなら服を脱いでほしい。女の方は、粉を吹くほど厚化粧をし、赤いドレスを着て、先に羽が隙間が見えないほどたくさんついた扇を口に当てながら、喚いている。粉が舞うから扇はそのまま当てておいてほしい。
急に日本語をしゃべったかと思えば、殺人予告。意味が分からない。それに、コスプレが好きとは。もうお前たちが医者に掛かったらどうだ?もちろん頭のお医者さんだ。とりあえず、私は素朴な疑問をぶつけてみることにした。
「えーっとっ、あのー、ここはどこであなたたちはどちら様でしょうか?」
「......。」
反応がないようだ。できるだけ丁寧に言ったつもりが、言い回しが違ったのか?よし、もう一度言ってみよう。
「ココハ!ドコデ!アナタタチハダレデスカ!!」
「...ッ!!!」
一応、一言ずつわかりやすく区切って言ったつもりなんだが、わからなかっただろうか。もはや幼児向けの文章だぞ。これでわからなかったら、本当にどうかしてる。ん?なんかぶるぶると震えている。私と言葉が通わせたことに感激したのであろうか。顔が真っ赤になってきた。いくら感激したといっても顔は赤くなるか?これじゃまるで...
「このっ出来損ない目が!この私にそのような口を利くとは何様だっ。もう許しておけんっ!!お前は今日限りでこの伯爵家から追放する!さっさと出ていけ!!!」
そう、まるで激怒しているみたいだ。
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