第3話 爆弾技師_ヒルダ
ヘンリーの唄を聴き終えたアルドたちは、ホライの集落と第3の炭鉱を結ぶ大橋に来ていた。
「いつ見ても立派な橋でござるなぁ」
「コノ橋の材料ヲ集めタノガ、マルデ昨日のことノヨウ、デスノデ!」
切り立った山の間、霧が立ち込め、底の見えない谷からしっかりと伸びる堅牢な石橋だ。
アルドたちがマクマクの森や炭鉱で材料を集め、ゴードンをはじめとした村人たちが長い時間をかけて再建した、橋だ。
「あ! アルドさんたち、おひさしぶり」
アルドたちが感慨に浸りながら橋を渡っていると、あと少しで対岸というところで、明るい女性の声がした。
「ヒルダ、グレースも 久しぶり」
橋の対岸には、大きく手を振るヒルダと、しかめっ面のグレースがいた。
「久しぶり。わしゃ、賑やかなのは嫌だと言ったんだが、この娘が『どうしても』というから……」
しかめ面ながらも、どこか嬉しそうな声音でいうグレースに、ヒルダは「もー。またそんなこと言って」と慣れたように笑う。
「はい、ここは橋のスタンプね」
ヒルダに3つ目にスタンプを押してもらったアルドは、手元の目線を落とす。
「これで、残り一か所か…… うーん。何も思いつかないなぁ」
「残りは、花の絵でござるか…… マーロウ殿の自宅付近に花畑はあったでござるが……」
「花のマークなら、モナとマクマクが担当のはずだがね」
悩むアルド達に、グレースがさらりと言う。
グレースがヒントではなく答えを言ってしまったからか、まぁ、いいか。という雰囲気を出してヒルダが「あの子たちには、村の中ならどこにいてもいいって伝えてあるの」と続ける。
「モナとマクマク…… でも、村の中にいたかしら?」
「村の中は100%回りましたが、モナさんもマクマクさんもいなかったですノデ!」
「え! 村の中にいないの!?」
エイミとリィカの証言に、ヒルダが驚いた顔をする。
「ヒルダとグレースは、モナとマクマクの居場所に心当たりないか?」
「村外の人間が間違って炭鉱に入っちまったらコトだから、炭鉱の前は大人を置くようにはしたが……」
「人数が足りなくて、森の前には大人を置けなかったから。村の外に出るとしたら、森ね」
「あの森には魔物が出るでござる。子供が行くには危険でござる」
「確認に行きましょ」
アルドたちは、マクマクの森に向かって駆けだした。
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